感染症と民衆(961;961)

明治日本のコレラ体験

平凡社新書

奥 武則

2020年11月16日

平凡社

902円(税込)

美容・暮らし・健康・料理 / 新書

流言から始まる暴動、襲われる医師や巡査──。幕末から明治中期にかけて間欠的に大流行し、その高い致死率が民衆に脅威を与えたコレラ。当時、近代国民国家に向けて走り始めた政府と伝統的生活世界に生きる民衆のあいだでは「コレラ騒動」というかたちで軋轢が生じた。 近代日本の黎明期に大流行した「死に至る病」。政府は、民衆はいかにコレラと対峙したか。 《目次》 はじめに──コレラは遠く…… 序章 コレラという病気 風土病からパンデミックに/「即時に病みて即時に終れり」/「近代」の病として コレラの現在 第一章 最初の波──安政五年、江戸 蘭学者・大槻玄沢の記録から/朝鮮から対馬を経て渡来?/アメリカ軍艦乗組員が発火点 ついに江戸に至る/あふれる棺桶、漂う臭気/神仏にすがる人々/「死人書上」が語るもの 第二章 殺された医師──明治一〇年、千葉 詳細な『虎列剌病流行紀事』/虎列剌病予防法心得/三つのルートから感染が拡大 「烈医」の供養碑/佐倉順天堂で学んだ俊秀/「コレラ医玄昌」への憎悪/死体発掘事件 エスカレートした集団の暴力/事件は、なぜ起きたのか/岡山県の事例 「無智ノ妄説」から暴動に 第三章 襲われる巡査──明治一二年、新潟 日本史上最悪のコレラ禍/開港地・新潟/天皇巡幸前に独自の規則/巡回・摘発する巡査 米の安売り額に納得せず/富商の家などを打ち壊す/流言をきっかけに暴動へ 激しい乱闘で多数の死傷者/六項目の歎願/米価騰貴、生活の困窮 騒動が頻発した新潟県/巡査、コレラの先走り/コレラ感染で死亡した巡査も 巡査四人が殺害される? 第四章 「避病院」という場所──明治一二年、埼玉 避病院を寺院に設ける/「グラント将軍へ生肝献上」の流言/竹槍で威嚇する村民たち 「避病院ハ廃止セラレ度」/避病院閉鎖を勝ち取る?/村の指導層も騒動に参加 戸長らの独断と村民の反発/巡査三人に暴行、軟禁/首謀者は懲役十年に 二つの騒動から見えてくるもの/なぜ、避病院は忌避されたのか 患者に対する排除のまなざし/お雇い外国人ベルツの怒り 第五章 疫病神の退治を願う──さまざまなコレラ祭 瀬戸内の島の狂乱/郡役所・警察の説諭を無視/疱瘡神とのつながり コレラ除けの呪い/コレラは狐憑き/疫病神を追い出す「コレラ送り」 虫送りとのつながり/村境で乱闘騒ぎ/村の排他性/「印づけ」を拒む人々 第六章 コレラを制圧する──公衆衛生という立場 緒方洪庵『虎狼痢治準』/治療から隔離・消毒へ/「衛生」の発見/啓蒙される人々 町村に衛生委員を置く/戸長という存在/「自治衛生」の挫折 新聞に連日、患者数・死者数/「患者多発地」を地図で示す/格差・偏見・差別 終章 国家・医療・民衆 新政反対一揆として捉える?/ある村の村議定/コレラ祭につながる心性 徴兵令反対一揆の場合/「共通の敵」としてのコレラ/「無知蒙昧」の民衆 自己規律を求められる人々/発端は三人の患者/「無菌証明書」の発行も 記憶の中のコレラ/感染症との共生 あとがき 主要参考文献

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