「昔はワルだった」と自慢するバカ

ベスト新書

小谷野敦

2011年11月30日

ベストセラーズ

827円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

ルソーの著作もアウグスティヌスのものも、明治・大正期には『懺悔録』というふうに翻訳された。悪いことをした昔を、人々の前に告白して、許しを乞い、今は後悔して清らかな生活を送っています、というわけだ。しかし、考えていくと、この「昔はワルだった」というのは、男の世界で、良くざんげ話のつもり(ふり)の自慢話として使われるのである。いくら何でも、アウグスティヌスが、自慢話のつもりで書いたとか、その無意識には自慢があった、とは言わないが、のちにこれを「輝ける悪徳」と呼んだ者がいたらしい。そして、私はこういう「昔はワルだったぜ自慢」というのが嫌いなのである。非常にそれは「男の子っぽい」ことで、私は自分が「ワル」だったことがないから、不快を感じるのである。けれど、それは少し羨ましいからかもしれない。

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