遅読術

ベスト新書

適菜 収

2019年2月14日

ベストセラーズ

946円(税込)

新書

「情報化社会である。多くの人々が最先端の情報を貪欲に追い求めている。会社や学校、町内会などで世間並みの会話についていければいいと、テレビを見たり、新聞、雑誌、本を読む人が多い。しかし、その情報は本当に必要なんでしょうか?   新聞や雑誌を隅々まで読み、世の中に目を配ったつもりになるのはいいことなのか。旧メディアをバカにして、ネットの優位を説き、ピンポイントで必要な情報を集めることがすぐれているのか。不治の病を宣告され、いよいよ明日死ぬといったときに、芸能人の不倫に関する情報は、人生を振り返る時に役に立つのか。いや、役に立つという表現自体がおかしいのだ。 人間はどうせ死ぬし、国も社会もいずれは滅びる。それでも人は本を読む。なにかに役立てるためではない。自分の魂のために読むのである。本書では、厳選した本をいかにゆっくりと読むかについて述べている。 これはきちんとしたレストランで、時間をかけて食事を楽しむのと同じこと。速読は早食いのようなものだ。価値のある本に書かれているのは、単なる情報ではない。時間をかけて向き合う、まさにその時間にこそ、意味がある。一流のレストランに大金を払って「栄養」を求めるバカはいない。そのレストランが提供する技術と、そこに自分の魂が接近する、その「時間」を費やすことに価値があるのだ。 まさに、本を読むということは、過去に存在した偉大なレストランで食事をするようなものだ。「人生の伴走となる本」はそうあるべきなのだ。 著者は世の中の「情報収集のための読書術や速読術」、また「教養を知識と同等に扱った読書論」を真っ向からぶった斬り、読書の本質をわかりやすく説いた書。 まえがき 第一章 とりかえしのつかない人 読書術・読書論を100冊読んでみた 速読バカになるな 正解を暗記する人たち 知的武装でバカになる 思考回路をチューニングする 第二章 「子供の読書」と「大人の読書」 自分の意見などいらない 幼児の舌と大人の舌 三島由紀夫の読書論 高い次元から見る 理由は聞くな、本を読め 悪に接近するということ 第三章 「多読」か「精読」か 濫読の害について 道はすでに示されている 読者は消費者ではない 教養とはなにか 古典とは新しい本のことである 世界で一番すごい本 頭の中にいれる ゲーテとの対話 第四章 本の読み方 いつまで間に合うのか? 社説を読めばバカになる 究極のダイエット本 なぜ世界は不幸になったのか 世論に流されない ベストセラーは時間を置いてから読む 悪を直視する 引用が大事 本を捨てる あとがき

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