宗教地政学で読み解くタリバン復権と世界再編

中田考

2024年9月21日

ベストセラーズ

1,540円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

先行きの不透明な激動の時代にあって、日本がこれまでの脱亜入欧路線を貫きアメリカの忠実な属国であり続けるのが最善の選択肢であるかどうかは決して自明ではない。 日本は近い将来、自らの存亡をかけた選択を迫られることになるかもしれない。その時に選択を誤らないためには、まず国際情勢の「客観的」な現状認識を持たねばならない。 ところが現状認識の最大の妨げになっているのが、二度にわたる敗戦のトラウマに基づくアメリカ従属志向、属国的心性である。 しかし冷戦終結後のユニポール時代の国連による公式なテロ支援組織認定のお墨付きを得て多国籍軍を率いて行った20年にわたるアフガニスタン占領行政の末に、孤立無援の反政府武装勢力に過ぎないタリバンによる攻勢を前にしての米軍の完全撤退は、もはやアメリカには国連の傘の下にあってさえも独力では自分が作り上げた傀儡政権を守る力さえも残されていない事実を露呈させた歴史的転機であった。 2023年に勃発したガザ戦争は第一次世界大戦以来「国際秩序」の政治、軍事、経済、科学のみならず思想・言論空間をも主導してきたアメリカの覇権の決定的凋落と共にアメリカが築いたその「国際秩序」自体の道義的権威の矛盾と偽善をも暴き出した。しかしその始まりはタリバンの復権であった。 それだけではない。タリバンの復権は、ただアメリカと西欧の凋落の原因を分析し、近代西欧文明の問題を見直す契機となるばかりではない。私見によると、それはこの混沌の時代において偽善、妄執、物欲、増上慢の闇の中に仄かに垣間見える人類の未来への希望の灯台であり、狭く険しい迷路を照らす一条の光なのである。 時折、報道されるタリバンによる女子教育の禁止といった誹謗中傷記事を除き、日本のメディアでアフガニスタンに関する報道を目にする機会もほとんどない。 そうであるならば無法者の悪党だと思っていたタリバンがいきなり「人類の未来への希望の灯台」と言われても狐につままれたような気分になるだけだろう。そこで本書は以下の構成をとる。 序論で『タリバン 復権の真実』に続いて本書を執筆するに至った国際情勢の変化とその歴史的意義について略述し、続いて第一章で地政学、比較文明論的視点から、学術的主要参考文献を示しつつ「タリバンの復権」の意義を巨視的に明らかにし、第二章では現在の第二次タリバン政権(アフガニスタン・イスラーム首長国)の構造、制度と統治の実態について最新の情報に基づいて纏め多角的に考察する。 今後起こり得る“世界再編の台風の目”となっているタリバンを知ることは、日本がこの激動の世界で生き残る唯一の手段と方法を知ることになるだろう。 (「序論」より一部抜粋)

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