いわくの剣

天下様のお膝元への遊学に憧れる飯田藩の青年剣士、依田平四郎。藩はおりしも御家騒動のさなかにある。平四郎は軍学者たる父の密命を受け、勇躍江戸へと旅立つ。大事な旅なれど、浮き立つ心は抑えられない。江戸へ着いた平四郎が向かった先は、湯島天神。この境内に居候先の「岩国屋」がある。平四郎は知らなかったが、岩国屋は人気の出合茶屋だった。恋に、決闘に、平四郎の「お江戸日記」が幕を開く。