書物のなかの近世国家

アジア遊学 259

小二田章 / 高井康典行 / 吉野正史

2021年8月31日

勉誠出版

3,300円(税込)

人文・思想・社会

中国王朝が自らの領域の全体を明示すべく、各地域の歴史とデータを集積し作り上げた総合的書物「一統志」。 元・明・清において編まれたこれらの書籍は、東アジア諸国や欧州へも伝播し、近代の地誌・歴史編纂にも影響を与えるものであった。 近代的領域認識の萌芽を体現するこれらの編纂物は、いかなる時代状況において作られたものであったのか。 編纂前史から、王朝三代にわたり編纂されたそれぞれの「一統志」のあり方、周辺諸国や後代に与えた影響をも考察し、「一統志の時代」を浮かび上がらせる。 序言ー「一統志」の「時代」を語るために 小二田章 1 一統志以前 李吉甫の描く「一統」-『元和郡県図志』とその疆域 竹内洋介 宋朝総志編纂考ー総志から方志へ 須江隆 2 大元一統志 元代における遼金代東北地域に対する地理認識の地域差ー『大元一統志』『遼史』『金史』『大元混一方輿勝覧』の地理記述の比較から 高井康典行 中国史上の「大一統」と『大元大一統志』 櫻井智美 『大元一統志』における路に関する記載についてー『大元一統志』輯本の理解のために 吉野正史  コラム◉宋元時代の道教と地誌ー茅山の事例を中心に 酒井規史 3 大明一統志 明代景泰ー天順期の政局と一統志 高橋亨 『大明一統志』人物伝とはー『遼東志』との関係をめぐって 荷見守義 『大明一統志』に関するいくつかの問題について 巴兆祥(訳:小二田章)  コラム◉元・明一統志の非中華世界へのまなざし 向正樹 4 大清一統志 明清期個人編全国志初探ー大明から大清への「一統志」の道 小二田章 北辺からみる『大清一統志』 柳澤明  コラム◉ヨーロッパに伝えられた中国の地理情報ー『皇輿全覧図』の製作と宣教師の記録 澤美香 5 東アジアの一統志 中井竹山の名分論についてー他学派批判との関連を中心に 清水則夫 「津軽一統志」の編纂と弘前藩 長谷川成一 「文芸」の地誌から「口承」の地誌へー『信達風土雑記』と『信達一統志』 高橋章則 朝鮮近世の地理誌は誰のものだったのか 吉田光男 朝鮮燕行使の『大明一統志』輸入について 辻 大和 周縁から見た一統志ー南の小中華と『大南一統志』 岡田雅志 6 一統志のかなた 古典期(十〜十三世紀)イスラーム世界における地方史誌ーウラマーの地方観と知的実践 森山央朗 小国が自ら国境線を引くときーデンマークの国境設定一〇〇周年に寄せて 村井誠人  コラム◉清末民国期の地方史編纂─地域と宗族を記録すること 山田賢 日本近世地誌の編纂と地名記載 白井哲哉 編集後記 小二田章

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