
帝国の島々
漂着者、食人種、征服幻想
叢書・ウニベルシタス 1118
レベッカ・ウィーバー=ハイタワー / 本橋 哲也
2020年5月26日
法政大学出版局
5,280円(税込)
人文・思想・社会
『テンペスト』から『ロビンソン・クルーソー』『ガリヴァー旅行記』、そしてメルヴィル、ヴェルヌ、H.G.ウェルズらの諸作品を経て現代文学・映画・テレビシリーズへ。見知らぬ島に漂着した遭難者たちの冒険を描き、世界中で人気を博したこれら「島の物語」がいかにして帝国主義イデオロギーの拡大を支え、白人男性による暴力と植民地支配、新自由主義的搾取を正当化してきたかを論じる。 日本語版へのまえがき 序 章 島々と所有の物語 歴史的視野 身体としての島 なぜ島なのか? 「私の島」(I-Land)と精神分析 読者と再コード化 方法論 島の概観 第一章 睥睨するすべてのものの君主 所有を精神分析する 投影、すなわち眼によって土地(Eye-Land)をまなざすこと 名付けと地図製作 所有の儀式 島との同一化──自我としての皮膚 体内取り込みとしての読書──冒険物語、寝床話(ベッドタイム・ストーリーズ)、文化的訓練 第二章 規律の島──白人の父権、ホモソーシャルな男性性、そして掟 島の規律と良き植民者 島の女性たち 食物、飲料、セックス、石鹸──男らしい規律の実践 島における父権と男らしさの再生産 島の子どもたちと男らしさの再生産という幻想 男らしい島とホモソーシャルな絆 父の掟 悪しき父親たち、獣のような子どもたち 第三章 飢えた食人種、貪欲な海賊、逆ー体内取り込みの恐怖 アブジェクトな海賊と食人種 逆ー体内取り込みという幻想 海賊を演じ、食人種となる 食人種を演じる 海賊を演じる 第四章 野生の最低段階へと落ちて──野人、怪物、獣性という汚れ 「先住民になってしまう」ことと島の伝染病 汚染する先住者 出たぞ、怪物が 植民者の両義性──野蛮な遊び、秩序の再興 第五章 島の物語のパロディとクルーソー茶番劇──内部からの抵抗 帝国への反抗と島の幻想物語のパロディ カーニヴァレスクな島と茶番劇におけるジェンダーと人種 バルコニー席における伝統的ジェンダーの維持 ピーター・パンと白人男性の危機 人種の解体と植民地における他者 『ユートピア有限会社』と植民地主義的な模倣を笑うこと 第六章 アメリカ合州国という島の幻想──ギリガンとともに漂着して アメリカ合州国というドルの帝国 コスモポリタンな島と脱領土化の恐怖 新たな漂着物語の心理学 謝 辞 原 註 島々と所有の物語──訳者あとがき 引用文献 索 引
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