訳された近代

文部省『百科全書』の翻訳学

長沼 美香子

2017年2月16日

法政大学出版局

6,380円(税込)

語学・学習参考書 / 人文・思想・社会

明治初期、当時一流の洋学者たちを総動員して進められた、文部省主導の大規模な翻訳プロジェクトがあった。英国の百科事典を70名以上に及ぶ翻訳者・校正者が協働して日本語訳し、最先端の西洋文明を紹介した全97編の出版事業は、近代日本の言語・文化・学問に何をもたらしたのか。事業の概観とともに、各分野の主要翻訳語に着目し、翻訳学の視点から初めて総合的にアプローチした画期作。 序 章 文部省『百科全書』への招待  一 翻訳テクストの研究  二 『百科全書』研究の意義  三 本書の構成 第一章 翻訳研究における「等価」言説──スキャンダルの罠  一 翻訳の理論と「等価」  二 欧米翻訳学事始  三 近代日本の翻訳論  四 日本の翻訳学 第二章 文部省『百科全書』という近代──ふぞろいな百科事典  一 国家的翻訳プロジェクト  二 翻訳機関の変遷  三 『百科全書』の輪郭  四 起点テクストについて  五 翻訳者と校正者の群像 第三章 「身体教育」という近代──文明化される所作  一 身体の近代  二 明治政府と「教育」  三 「身体教育」の行方  四 「体育」とは  五 国民国家の「スポーツ」 第四章 「言語」という近代──大槻文彦の翻訳行為  一 大槻文彦と「言語」  二 『言語篇』の刊行事情  三 文法をめぐる『言海』と『百科全書』  四 「言語」とは  五 ためらいがちな「言語」というもの 第五章 「宗教」という近代──靖国体制の鋳型  一 「宗教」と非「宗教」  二 翻訳語としての「宗教」  三 明治政府と「宗教」  四 『百科全書』における「宗教」  五 非「宗教」のカモフラージュ 第六章 「大英帝国」という近代──大日本帝国の事後的な語り  一 遡及することば  二 「大英帝国」とは  三 「帝国」の記憶  四 「人種」をめぐる大日本帝国  五 更新され続ける「帝国」 第七章 「骨相学」という近代──他者を視るまなざし  一 人体解剖図と翻訳  二 西洋近代の「科学」  三 「骨相学」とは  四 語るまなざし  五 疑似科学の近代 第八章 「物理」「化学」という近代──窮理と舎密からのフィクショナルな離脱  一 蘭学から英学へ  二 自然科学の翻訳  三 「物理」「化学」への跳躍  四 定義するテクスト  五 学校制度のなかの自然科学 第九章 「百科全書」という近代──制度の流通と消費  一 「百科全書」とは  二 『百科全書』の視覚制度  三 制度としての学知  四 新聞広告による流通と消費 終 章 「翻訳」という近代──訳された文部省『百科全書』  一 翻訳語の遠近法  二 増殖する名詞  三 翻訳論的転回へ あとがき 文献一覧 事項索引 人名索引

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(0

--

読みたい

0

未読

0

読書中

0

既読

0

未指定

16

書店員レビュー(0)
書店員レビュー一覧

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください