花咲小路一丁目の刑事
ポプラ文庫 日本文学 282
小路 幸也
2015年10月2日
ポプラ社
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
たくさんのユニークな人々が暮らす花咲小路商店街。今回の主人公は「和食処 あかさか」を営む祖父母のもとに居候中の若手刑事。のんびりできるはずの非番の日に、なぜか必ず商店街の大小さまざまな相談ごとを持ちかけられて奔走する羽目になってしまう。
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下町情緒溢れまくり
【花咲商店街】 古き良きを保ちつつ、寂れず人が賑やかで、昔ながらのとても距離の近いご近所づきあいがあり、皆まとめて親戚のような感じ。 シャッター街というわけでもなくて、儲かってもないけれど、店を畳むほどじゃないって感じのお店がずらっと並んでいる、そんな商店街。 【非番の刑事も忙しい】 一丁目の刑事は、ヒヨッコ刑事が、花咲商店街で定食屋をやっている祖父母の家に居候するところから始まります。 刑事さんの活躍!!というお話では全くなくて、 非番の日、お休みの日に、居候している先の祖母に相談を受け (おばあちゃんはご近所さんからお孫さん刑事なんでしょ?と相談を受け)、 「刑事だから調べ物は得意でしょう?」 的感覚で、割とやっかいな相談を持ち掛けられるんです。しかもほぼ毎回の日番に。 そんな身内感覚の相談なので、非番の一日しか調べ物に時間を割けないし、ご近所さんはみんな顔見知りだから、捜査とはわからないように、それとなーくバレないように探るって、ものすっごく大変だったりします。お蔭で、毎回非番の日が潰れちゃう羽目に。これじゃあ恋人も出来やしない。自分の時間もない。 だからといって、優しいおばあちゃんの頼みだから、聞かないわけにはいかないんですよね。 あのお店の誰々ちゃんと誰々君が仲がいいんだとか、あそこのご主人はいまこんなことにハマってるとか、知るつもりもなかったのに商店街の噂にいつの間にか詳しくなっちゃってたりします。 もちろん刑事としての仕事も頑張ってますよ。 【ご隠居は元・泥棒紳士!?】 四丁目の聖人は、花咲商店街の大地主さんで、日本が大好きで帰化をした英国紳士。 見た目はしゅっとしていて、いつもステッキ片手に背筋を伸ばして歩いている、ダンディなご隠居さん。 若かりし頃は美術品の大泥棒だったとかなかったとか?そんな噂がある謎なお人。 誰に聞いても昔のことを知らなかったりするので、謎が謎を呼びます。 観察眼が鋭く、難事件の相談を受けても、鮮やかに解決しちゃうという、カッコいいおじさまです。 誰にでも親切なので、商店街にも自然と溶け込めちゃっています。 そんな風変わりな人たちが、ちょいちょいいる花咲商店街は今日も元気に営業中です。
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何度めかの再読
花咲小路商店街のシリーズでは一番好きな作品。優しき刑事に優しき商店街の人々。この作品の雰囲気が本当に好きだな⭐
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