孤独とセックス
坂爪 真吾
2017年12月26日
扶桑社
902円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
なぜ「誰と交わっても虚しい」のか?孤独の闇の中で「生きる動機」を錬成せよ!欲望に振り回されて傷つきたくないあなたへ。
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(無題)
本書は現在18歳の男子を読者に想定してセックスについて書かれている。しかし、老齢となった我が身にとっても考えさせられるところは多い。例えばセックスは、単なる性的欲求や生殖本能だけでなく、「セックスを通して、誰かと心を通わせたい」「ありのままの自分を受け入れてほしい」といった承認欲求が潜んでいるといった指摘である。 また、新たなる知見もあった。男が痴漢などの性犯罪に走る理由である。当然、性欲や性衝動が強いからだと思っていたが、そうではないのだそうだ。その証拠は痴漢行為をしている時に勃起しているのは、3割に過ぎないとの統計がある。痴漢の加害者の大部分は、性的要求を満たすために痴漢行為をしているのではないのである。では彼らは何故痴漢行為に走るのであろうか。結論を述べる前に先ずは、彼らの言い分を聞いてみることにしよう。 「最初は嫌がっていても、多くの女性は痴漠されているうちに気持ちよくなる」 「女性は無意識のうちに痴漢されたいという願望を持っている」 「今週も1週間仕事を頑張ったから自分は痴漢をしても許される」 「妻と長い問セツクスレスだから、痴漢することは仕方ない」 冗談や皮肉で言っているのではない。彼らは大真面目にそう信じ込んでいるのである。無論、こんな身勝手な理屈が通用するはずもないし、多くの人はそこに病的な匂いを嗅ぐであろう。そう、彼らは薬物やギャンブル同様に依存症なのである。 本書全体に著者の青春時代が赤裸々に綴られている。橋爪慎吾の著書はこれで数冊になるが、著者が性にこだわる理由がよく分かった。
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