死にたい夜にかぎって

爪 切男

2018年1月26日

扶桑社

1,210円(税込)

小説・エッセイ

「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」--憧れのクラスメイトにそう指摘された少年は、この日を境にうまく笑えなくなった。 Webサイト『日刊SPA!』で驚異的なPVを誇る連載エッセイ『タクシー×ハンター』。その中でも特に人気の高かった「恋愛エピソード」を中心に、大幅加筆修正のうえ再構築したのが、この『死にたい夜にかぎって』だ。 出会い系サイトに生きる車椅子の女、カルト宗教を信仰する女、新宿で唾を売って生計を立てる女etc. 幼くして母に捨てられた男は、さまざまな女たちとの出会いを通じ、ときにぶつかり合い、たまに逃げたりしながら、少しずつ笑顔を取り戻していく……。女性に振り回され、それでも楽しく生きてきた男の半生は、“死にたい夜”を抱えた人々の心を、ちょっとだけ元気にするだろう。 作者である爪切男は、同人誌即売会・文学フリマでは『夫のちんぽが入らない』主婦こだまらと「A4しんちゃん」というユニットを組んで活動。頒布した同人誌『なし水』やブログ本は、それを求める人々が行列をなすほどの人気ぶりだった。 もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー! (本文より抜粋)  私の笑顔は虫の裏側に似ている。学校で一番可愛い女の子が言っていたのだから間違いない。生まれてすぐに母親に捨てられ、母乳の出ない祖母のおっぱいを吸って育った。初恋の女の子は自転車泥棒で、初体験の相手は車椅子の女性だった。初めて出来た彼女は変な宗教を信仰しているヤリマンで、とにかくエロかった。そして今、震度四強で揺れる大地の上で人生最愛の女にフラれている最中だ。部屋の窓から鋭角に差し込む朝の光を浴びた彼女が、ヤジロベエのようにゆらゆらと揺れている。

本棚に登録&レビュー

みんなの評価(4

starstarstar
star
3.45

読みたい

15

未読

3

読書中

0

既読

17

未指定

8

書店員レビュー(1)
書店員レビュー一覧

ひさだかおり

書店員@精文館書店中島新町店

(無題)

--
0
2020年01月16日

みんなのレビュー

レビューはありません

Google Play で手に入れよう
Google Play で手に入れよう
キーワードは1文字以上で検索してください