愛妾の娘
大富豪の飽くなき愛1
ハーレクイン・ロマンス
リン・グレアム / 霜月桂
2015年2月20日
ハーパーコリンズ・ジャパン
722円(税込)
小説・エッセイ / 新書
「裁判所に訴えて、子供たちを認知してもらうわ」ベルは震えながら、クリスト・ラベッリに向かって宣言していた。彼の父親ガエターノの別荘で、母は家政婦として長く仕えてきた。館の主を愛し、5人の子をもうけ、日陰の身にずっと甘んじたまま。母が逝き、ガエターノも亡くなった今、父親違いの弟妹たちと遺され、ベルは途方に暮れていた。そんなとき現れたのが、クリストだった。彼は子供たちの存在を認めず、冷酷にも養子に出すようにと迫る。ベルは弟妹を守るため、とっさに法廷に持ち込むと言ったのだった。だが醜聞を避けたいクリストは、思惑を秘めた目でベルを見、言った。「そんなに弟妹が心配なら、全員まとめてイタリアに来るといい。この子らの面倒は僕が見ようーただし、君が妻になるのが条件だ」
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ヒロイン・ベルの正直さ素直さが凄い
愛人の子として生まれた6人の姉弟たちは、母と強欲な成金のガエターノが死んだあと、住む所さえなくなる所だった。長女のベルは、母の以前の夫との間に出来た子供なので兄弟たちとは、半分しか血が繋がっていない。やってきたのは、ガエターノの正式な息子で長男クリスト。クリストは、ガエターノ亡き後に彼の尻拭いにやってきた。この話はシリーズ化されていて、彼の弟たちの話も以降、出てくる。次男ニック、三男ザリフ。それでクリストは、次男ニックの元妻のベッツィに惹かれていた。が、ベルに出会って結婚して、他の愛人の子たちを養子にする。ベルは意外にも経済学や経営学にもつうじていて、銀行で働いた事もあって割と感情的なのに利発。何よりも自分の気持ちに凄く正直で「あなたと結婚した事によって、蔑ろにされていた母に対しての自分の歪んだ自尊心が慰められたのは事実よ」と開けっぴろげに告げる。激情なだけじゃなくて頭の回転も早いっていうヒロインは貴重。さすがリングレアム、一筋縄ではいかない。
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