夜の合戦

16-17世紀の魔術と農耕信仰

カルロ・ギンズブルグ / 上村忠男

1986年6月30日

みすず書房

3,300円(税込)

人文・思想・社会

異端裁判の舞台で、交差し浸透する二つの文化。審問官の文化と民衆の文化と。記録の断片から、ジグソー・パズルのように過去を構築する歴史家ギンズブルグ。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar 4.0 2021年11月20日

カルロ・ギンズブルグの異端審問研究の処女作、一連の魔女狩りものの第一作目。 本作では近世の北イタリアに存在した「べナンダンティ」と呼ばれるものたちに焦点を当てている。彼らの供述によれば、羊膜をかぶって生まれてきたものたちはべナンダンティとなる運命にあり、四季の斎日の夜、肉体を残して霊魂の状態となり、ストレーガと呼ばれる妖術師たちとの戦いに赴かなければならない、という。そしてこの戦いでべナンダンティが勝てばその年は豊作だけれども、敵対するストレーガが勝てば凶作になるという。 このべナンダンティの信仰は古い農耕儀礼、民間信仰の名残で、合戦自体は夢の中で起こるらしいけれども、べナンダンティ当人たちはこの合戦の現実性(妄想や幻覚ではなく実際に起こる)をつゆほども疑っていない。 すこぶる面妖、怪しくって面白い。 ギンズブルグの歴史研究の方法論的問題なども解説できちんと説明されており、なかなかの良書。学術書だけれども、かたく身構えず普通に読めるのが非常に良い。

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あめさと

(無題)

starstarstarstar 4.0 2021年07月10日

カルロ・ギンズブルグの異端審問研究の処女作、一連の魔女狩りものの第一作目。 本作では近世の北イタリアに存在した「べナンダンティ」と呼ばれるものたちに焦点を当てている。彼らの供述によれば、羊膜をかぶって生まれてきたものたちはべナンダンティとなる運命にあり、四季の斎日の夜、肉体を残して霊魂の状態となり、ストレーガと呼ばれる妖術師たちとの戦いに赴かなければならない、という。そしてこの戦いでべナンダンティが勝てばその年は豊作だけれども、敵対するストレーガが勝てば凶作になるという。 このべナンダンティの信仰は古い農耕儀礼、民間信仰の名残で、合戦自体は夢の中で起こるらしいけれども、べナンダンティ当人たちはこの合戦の現実性(妄想や幻覚ではなく実際に起こる)をつゆほども疑っていない。 すこぶる面妖、怪しくって面白い。 ギンズブルグの歴史研究の方法論的問題なども解説できちんと説明されており、なかなかの良書。学術書だけれども、かたく身構えず普通に読めるのが非常に良い。

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