ウイルスの意味論

生命の定義を超えた存在

山内一也

2018年12月15日

みすず書房

3,080円(税込)

科学・技術

ウイルスとは何者か。その驚くべき生態が明らかになるたびに、この問いの答は書き替えられてきた。 ウイルスは、数十億年にわたり生物と共に進化してきた「生命体」でありながら、細胞外ではまったく活動しない「物質」でもある。その多くは弱く、外界ではすぐに感染力を失って“死ぬ”。ただし条件さえ整えば、数万年間の凍結状態に置かれても、体がばらばらになってしまったとしても“復活”する。ウイルスの生と死は、生物のそれとはどこかずれている。 一部のウイルスは、たびたび世界的流行を引き起こしてきた。ただしそれは、人類がウイルスを本来の宿主から引き離し、都市という居場所を与えた結果でもある。本来の宿主と共にあるとき、ウイルスは「守護者」にもなりうる。あるものは宿主を献身的に育て上げ、またあるものは宿主に新たな能力を与えている。私たちのDNAにもウイルスの遺伝情報が大量に組み込まれており、一部は生命活動を支えている。 ウイルスの生態を知れば知るほど、生と死の、生物と無生物の、共生と敵対の境界が曖昧になっていく。読むほどに生物学の根幹にかかわる問に導かれていく一冊。 はじめに ウイルスとともに生きる 第1章 その奇妙な“生”と“死” 第2章 見えないウイルスの痕跡を追う 第3章 ウイルスはどこから来たか 第4章 ゆらぐ生命の定義 第5章 体を捨て、情報として生きる 第6章 破壊者は守護者でもある 第7章 常識をくつがえしたウイルスたち 第8章 水中に広がるウイルスワールド 第9章 人間社会から追い出されるウイルスたち 第10章 ヒトの体内に潜むウイルスたち 第11章 激動の環境を生きるウイルス エピローグ あとがき 註 索引

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