なぜならそれは言葉にできるから

証言することと正義について

カロリン・エムケ / 浅井晶子

2019年10月17日

みすず書房

3,960円(税込)

人文・思想・社会

暴力をうけた人は、それを話すことができるだろうか。周囲の人はそれを聞くことができるだろうか。 暴力は、日常の「こうであるはずだ」という約束を壊す。世界で生きていく前提が崩れてしまうのだ。だから、何が起こったのかを認識するのにとても時間がかかる。その話を聞いた人も、言われたことを即座に理解することはできない。 けれども、暴力は世界中で蔓延し、ある日突然被害者になる人は増え続けている。世界への信頼を打ち砕かれた人が、ふたたび世界へと戻って来られるために、私たちは何ができるだろうか。 著者エムケは戦地を取材し、さまざまな人と出会う。そこから、「語ること」「聞くこと」「聞いたことを伝えること」について考えていく。 語ることを強いるのではなく、言葉にできないとするのでもなく、「それでもなお語る」ことを探ること。口ごもりながら、断片的に語るとき、そこには空白があり、謎があるかもしれない。だからこそ「それ」は言葉にできる。 語りの首尾一貫性ではなく、聞く人が「それ」を聞けるかが、世界への信頼を取り戻す鍵となる。 出会った人々の言葉とともに、旅するエムケの生活や思い出が、普遍的な考察へとつながっていく。温かく、深みのあるエッセイ。 「なぜならそれは言葉にできるから」--証言することと正義について 序章/1 さまざまな証人、またはーー我々に語るのは誰か?/2 精神的打撃、またはーー「理解しようと試みない」/3 「物体」への変身/4 二重化、またはーーリズム、儀式、物、脱出/5 去る、またはーー沈黙の時/6 信頼、またはーーそれでも語る 他者の苦しみ 拷問の解剖学的構造 リベラルな人種差別 現代のイスラム敵視における二重の憎しみ 故郷ーー空想上の祖国 民主主義という挑戦 旅をすること 1 旅をすること 2--ハイチを語る 旅をすること 3--旅のもうひとつの形について 初出 訳者あとがき

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