
バウムテスト研究
いかにして統計的解釈にいたるか
ルネ・ストラ / 阿部惠一郎
2020年9月15日
みすず書房
8,800円(税込)
人文・思想・社会
被検者の描いた木からその深層意識や内面を理解する、バウムテスト。特別な器具を必要としないため、わが国の心理臨床の現場においても頻繁に用いられる心理テストである。 本書は、フランスでバウムテストの臨床と研究に従事してきた著者が遺した生涯唯一の本である。性格特性ごとに木の画に表れやすい特徴を178項目の「描画サイン」として抽出し、さらにそれぞれのサインの出現頻度を年齢ごと、性別ごとに導き出している。また、家族や兄弟との関係、食事や芸術への興味など、被検者の来歴と描画サインとの関連まで統計的処理をおこない、きわめて立体的かつ実用的な描画サインの確立へと至ったのである。 本邦では、長らくスイスの心理学者カール・コッホによるバウムテストが重用されてきた。しかし、ときとしてコッホの手法は描画の直観的で象徴的な解釈や、サインの多義性が指摘される。コッホの『バウムテスト』のフランスへの紹介者であるストラもまた、本書によって象徴的解釈からの脱却を試みたとも言えるだろう。 豊饒なフランス児童心理学の知見、圧倒的回数の統計的処理により導かれるサイン。本書は、わが国においてもバウムテストの研究史に刻み込まれるべき良書である。
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