
ネット企業はなぜ免責されるのか
言論の自由と通信品位法230条
ジェフ・コセフ / 小田嶋由美子 / 長島光一
2021年6月18日
みすず書房
5,720円(税込)
パソコン・システム開発
インターネットを誹謗中傷の空間に創り上げたのは、AppleがiPhoneの初号機さえ発売しておらず、マーク・ザッカーバーグがまだ11歳のころに議会に提案された、ある法律だったーー。 1996年に米国で成立した通信品位法230条は、起草段階では、匿名掲示板の主に性的な品位を欠いた投稿に対して、プロバイダー企業、プラットフォーム企業による自主規制を促すための法律だった。 しかし、1997年にケネス・ゼラン対アメリカ・オンライン訴訟の判決が出ると、風向きが変わる。ユーザーの「言論の自由」を侵害しないために、企業側はむしろ投稿の監視を怠っているほうが責任を問われない、という判例ができてしまったのだ。 匿名の誹謗中傷、性的人身取引の窓口、テロリストの募集……。通信品位法230条は成立から20年以上にわたり、多くの被害者が生まれる場を提供している企業を守り、育ててきた。ネット社会の礎となった法の起草から転換点となった裁判、法解釈の変遷までを克明に描く歴史物語。 謝辞 イントロダクション 第I部 230条の誕生 第1章 エレアザル・スミスの書店 第2章 プロディジーの例外 第3章 クリスとロンのランチ 第II部 230条の興隆 第4章 ご注文はケンまで 第5章 ヒムラーの孫娘とベイジョー星の少女 第6章 フラワーチャイルドと一兆ドル産業 第7章 アメリカ例外主義 第III部 230条のほころび 第8章 無法地帯? 第9章 230条を突き崩せ 第IV部 230条の未来 第10章 サラ対ダーティー・アーミー 第11章 殺せ、殺せ、殺せ、殺せ 第12章 モデレーションの動向 第13章 例外中の例外 結論 解説 インターネット媒介者責任の現状と名誉毀損に対する法的救済の動向(長島光一) 原註 索引
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