
私にぴったりの世界
ナタリー・スコヴロネク / 宮林寛
2022年3月18日
みすず書房
3,960円(税込)
小説・エッセイ
家族史を語れば必ず服の話になる。いっぽうで悲しみから立ち直れない祖母の店にショアーの亡霊がとりつき、いっぽうで時代に即応して命を燃やすように生きた一家は思わぬ成功にとまどっている。両方を行き来しながら育った女性は、やがて自分にぴったりの世界を探し求める。 鋭くも優しい眼差しを自らの家系に向けながら、一つの世界の終わりをみごとに描くこの自伝的小説は、家族のサーガにしてヨーロッパ現代史となり、高い評価を受けた。 「曾祖母が身を粉にして働いた青空市から、両親が起業し、国内に展開した系列店にいたるまで、どこを見ても思い知らされる。うちの祖先はポーランドのシュテットルに暮らすユダヤ人の仕立屋だったのだ。 移住から数えて四世代目となる頃、既製服の仕入先はパリのサンティエ地区から姿の見えない流通業者に代わった。商品はバングラデシュ、パキスタン、あるいは中国で買い付けられてくる。それがどこから来たのか、誰が、どのように作ったのか。そんなことを気にする必要はない。山と積まれた服のうち、客が気に入ってくれそうな品を見分けることが肝心だった。迅速な判断と、正しい選択が欠かせない。ヨーロッパ全域に広まった新時代の小売店に脅かされ、もはや一刻の猶予もなかった。イディッシュ語でシュマテスと呼ばれる仕事は、ついにその命運が尽きようとしていたのである。」 (ナタリー・スコヴロネク )
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