
競争なきアメリカ
自由市場を再起動する経済学
トマ・フィリポン / 川添節子
2025年3月19日
みすず書房
4,950円(税込)
ビジネス・経済・就職
アメリカでのブロードバンド平均月額料金は66.17ドル。対してドイツでは35.71ドル、フランスでは38.10ドル支払えば、同等のサービスが利用できる(2017年)。熾烈な価格競争が行なわれるはずの自由市場の国アメリカでは、ヨーロッパの人々の2倍近くを払わないとインターネットを利用できない。 本書によると、これは通信業界だけの問題ではない。競争が減少し、一握りの企業への集中が高まったことで、様々な物・サービスの市場で価格が上昇しているという。その背景には企業の政治家へのロビー活動や選挙資金提供で歪められた政策があると著者は喝破する。カネと政治の結合が歪めたのは価格だけではない。投資、生産性、経済成長、賃金が低調になり、格差が拡大した。Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftといった21世紀のテック系スターは、GE、GMといった過去のスター企業を上回るほど経済に貢献してはいない。ニューヨーク大学スターン経営大学院でマクロ経済とファイナンスを専攻する経済学者が、データを徹底的に活用して説く。「21世紀の資本主義を理解するための必読書」(ガブリエル・ズックマン。カリフォルニア大学バークレー校経済学部)。 はじめに 序論 I アメリカにおける市場支配力の高まり 1 経済学者はなぜ競争が好きなのか……なぜあなたもそうあるべきなのか 2 悪い集中、良い集中 3 市場支配力の増加 4 投資と生産性の低下 5 自由参入の失敗 II ヨーロッパの状況 6 一方、ヨーロッパではどうか 7 アメリカの物価は高すぎるのか 8 ヨーロッパ市場はどのように自由化したのか III 政治経済学 9 ロビー活動 10 カネと政治 IV いくつかの産業を掘り下げる 11 バンカーの報酬はなぜ高いのか 12 アメリカの医療ーー自ら招いた禍 13 星を見上げてーートップ企業は本当に違うのか 14 規制すべきか否か、それが問題だ 15 買い手独占力と格差 結論 補足資料/用語集/謝辞 参考文献/索引
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