独裁が揺らぐとき(236)

個人支配体制の比較政治

MINERVA 人文・社会科学叢書

大澤 傑

2020年3月21日

ミネルヴァ書房

6,050円(税込)

人文・思想・社会

独裁体制の類型の一つである個人支配体制の成否やその型式に法則性はあるのか。本書は個人支配体制が危機に直面した時にどのように崩壊、あるいは維持されるのか、という視点から独裁体制の統治と体制変動の関係性を明らかにする。支配者はいかにパトロン=クライアントネットワークを形成し、それが体制にどのような影響を与えるのか。具体的事例を理論と実態から比較分析し、政治体制論と体制変動論を架橋する。 はしがき 図表一覧 序 章 独裁の崩壊を理論化する  1 問題の所在──政治体制論と体制変動論の橋梁を築く  2 研究の目的──個人支配体制を研究する意義  3 本書の構成とリサーチ・デザイン  第1部 政治体制と体制変動の理論 第1章 個人支配体制とは何か  1 先行研究  2 個人支配体制を再考する  3 まとめ──個人支配体制の定義 第2章 体制変動の分析視角  1 個人支配体制の誕生  2 体制の持続──クライアンテリズムによる体制維持  3 体制崩壊の過程  4 アクター  5 社会経済構造の変動とクライアンテリズム  6 まとめ──個人支配体制の体制変動を読み解くために 第3章 個人支配体制の分析枠組み  1 体制危機の類型  2 軍部への懐柔戦略  3 政党による懐柔戦略──社会と政党エリートへ  4 理論仮説  5 個人支配体制の類型化と事例選択  6 資料と方法  7 まとめ──本書の分析視角と対象事例  第2部 個人支配体制の体制変動に関する事例比較 第4章 競争的権威主義型個人支配体制──反対派の政治参加を認めた独裁者  1 フィリピン──マルコスとピープル・パワー  2 インドネシア──スハルトとゴルカル主導の民主化  3 比較分析 第5章 疑似競争的権威主義型個人支配体制──反対派と協定した独裁者  1 ニカラグア──ソモサ王朝とサンディニスタ革命  2 パラグアイ──ストロエスネルと軍事クーデタ  3 比較分析 第6章 一党制型個人支配体制──反対派の政治参加を認めない独裁者  1 ルーマニア──チャウシェスクとルーマニア革命  2 スペイン──フランコの死とエリート主導の民主化  3 朝鮮民主主義人民共和国──金正日と金正恩の体制維持  4 イラン──モハンマド・レザー・シャーとイラン革命  5 比較分析 第7章 無党制型個人支配体制──サウジアラビアを事例として  1 誕生の概要  2 サウード家と軍部──懐柔資源としての軍  3 サウード家と社会──王族による分節化されたネットワーク  4 体制維持の現状  5 理論的な追試 終 章 独裁が揺らぐとき  1 仮説検証──体制崩壊の成否と型式を分かつもの  2 パトロン=クライアントネットワークの構築から崩壊までの過程  3 結論──クライアンテリズムはいかにして独裁の脆弱性を規定するか  4 本研究の限界と今後の研究課題──クライアンテリズム研究の難しさ 参考文献 人名索引 事項索引

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