ここまで変わった日本史教科書

高橋 秀樹 / 三谷 芳幸 / 村瀬 信一

2016年8月25日

吉川弘文館

1,980円(税込)

人文・思想・社会

中学生・高校生が学ぶ日本史は不変のものではない。相次ぐ発掘調査や新史料の発見で、人物や事件、時代のイメージは見直され、教科書の内容は書き改められていく。日本史教科書の現在を知るために、旧石器から平成まで46のテーマを設け、この数十年の記述の変化とその根拠となる研究の進展を教科書の専門家が解説する。Q&Aなどの付録も充実。 〈原始・古代〉 旧石器・縄文 「日本史」の始まりを求めて 弥生 時代区分をめぐる攻防 古墳1 邪馬台国論争のゆくえ 古墳2 見直される倭国と半島の関係 飛鳥1 変容する「聖徳太子」 飛鳥2 天皇・日本・藤原京 奈良1 律令国家の最盛期はいつか 奈良2 皇位を揺るがす権力者ー仲麻呂と道鏡 平安1 唐風化する天皇ー桓武と嵯峨 平安2 終わらない日中交流 平安3 貴族社会を支える受領 平安4 更新される摂関政治論 〈中世〉 平安5 中世の始まりと武士の起源 平安6 平清盛と平氏政権 鎌倉1 いい国作った源頼朝と肖像画 鎌倉2 「尼将軍」北条政子の実像 鎌倉3 元寇、蒙古襲来、モンゴル戦争? 鎌倉4 「鎌倉新仏教」はなぜ消えた 室町1 革命を目指す新しい後醍醐像 室町2 義満は天皇を超えたのか 室町3 将軍二人、幕府も分裂、戦乱の世へ 室町4 社会経済史から文化史へ 戦国1 更新される一揆のイメージ 戦国2 戦国時代の始まりと終わり 〈近世〉 戦国3 信長の描かれ方が変わった 戦国4 秀吉の出自、政治や出兵にも新視点 江戸1 関ヶ原の戦いの「名分」 江戸2 「鎖国」から「四つの口」へ 江戸3 江戸の都市生活ーリサイクルから吉原まで 江戸4 綱吉は悪役か、名君か 江戸5 江戸の三大改革の記述が減った 江戸6 変わる田沼政治のイメージ 江戸7 「士農工商」で語れない身分制度 江戸8 大御所時代、化政文化の評価も一変 江戸9 幕藩体制下の大名・藩は「三十年一日」 江戸10 大塩の乱、天保の改革をどう評価するか 〈近現代〉 明治1 明治維新のはじまりとおわり 明治2 二つの国際秩序 明治3 憲法発布と日清・日露 大正 教科書の中の「転換期の大正」 昭和1 軍靴と銃声の時代 昭和2 「先の大戦」を何と呼ぶ? 昭和3 人とモノで見る占領と戦後改革 昭和4 高度成長期への新たな視線 昭和5 バブル経済と昭和の終わり 平成の時代 歴史教科書に現在はどう書かれているのか 日本史教科書Q&A 付録1 中学校学習指導要領 社会科[歴史的分野] (平成19年度 現行版) 付録2 中学校学習指導要領 社会科[歴史的分野] (昭和44年度) 付録3 義務教育諸学校教科用図書検定基準(抄)

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さとう(人文)

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歴史がアップデートされていく過程は教科書を見るべし

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2020年07月29日

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

歴史がアップデートされていく過程は教科書を見るべし

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3.5 2022年05月28日

日本史教科書の「現在」を先史時代から現代まで46のテーマで概観。 教科書検定というと権力的でお役所的な頭が堅いイメージを持っているひとも少なくないだろう。 しかし、その過程は公開されており、学習指導要領上最低限のポイントさえ外さなければ、その記述は案外自由度が高いことがわかる。 本書の中心である日本史の内容もさることながら、こうした教科書検定の内実を知ることができるのも本書の面白さだ。 執筆者が日本史の研究者であり、文科省の仕事で十数年間教科書に接してきた経験者ならではの特徴であろう。 各テーマは各4ページ完結でそれぞれ独立しているので、はじめから順番に読み進めなくてもOK。 目次をみて興味のあるところからピックアップして読むこともできる。 学校の教科書が改まると必ずといってよいほど「新しく○○を教えるようになる」とか「■■は教えなくなる」などという話題がメディアなどで取り上げられる。 教科書は学習指導要領に基づき、学界で定説・通説として認められている研究成果が反映される。 研究は進み、時が経てば新しい学説が提示され定説・通説も変わっていくということは学問の進歩である。 教科書の大幅な改訂は学習指導要領が改められる約10年周期のため、リアルタイムに反映されるのは難しいが、自分が授業で習ったこととは別の内容となっていることも少なくない。 それでは書き改められた古い学説は「ウソ」なのか? 教科書の内容が改まると安直に「○○はウソだった」という言説がバラエティ番組などのメディアを中心に見られるが、ちょっと待って欲しい。 研究が進んだことで「間違い」だったことが判明したことと、「ウソ」だったということは意味が全く違う。 「間違い」と「ウソ」の区別はつけるべきである。 学説は常に「アップデート」される可能性を持っているのだ。 教科書の変化をみることで学問の変遷を読み解くことができる。 「教科書的」というと否定的なニュアンスを含みがちだが、教科書も捨てたものではないのだ。

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