双極性障害の認知行動療法

ドミニク・H.ラム / スティーヴン・H.ジョーンズ

2012年9月30日

岩崎学術出版社

4,400円(税込)

人文・思想・社会 / 医学・薬学・看護学・歯科学

●双極性障害の患者にはさまざまな心理社会的問題が発生するが,薬物療法のみでそれらに介入するのは難しい。本書では薬物療法との相補的な治療法としてCBTを提唱,治療の全体像から具体的な技法や社会的問題への取り組みまで,豊富な事例を交えて解説する。「双極性障害におけるCBT」理解のための決定版。 ●本書のアプローチはCBTを双極性障害用にアレンジしたものであり,技法そのものも正統的な内容である。しかしながら,決して心理療法のみに先鋭化するのではなく,生物学的理解を統合した理論に基づきつつ,極めて常識的かつ良識的に治療論が展開されている。そして,著者らのグループは世界に先駆けてこの治療法のエビデンスを数多く報告してきた。何より素晴らしいと感じるのは,実地臨床における治療の限界を謙虚に認めつつ,そこでもCBTの基本である協同作業を貫きクライアントに寄り添い続ける臨床姿勢である。本書は,双極性障害で生ずるさまざまな心理的問題に対し,CBTまたは体系的精神療法に何ができるのかを問うた意欲作と言っても過言ではない。極めて臨床的な問題を詳細かつ丁寧に検討していくその著述は,数多くの臨床例に日々全力で向き合ってきた者でないととても書けないものであることは明らかである。明日からでも臨床で使える知恵に満ちたものだと思う。本書を本邦に紹介することで双極性障害の臨床が少しでも豊かになり,数多くの当事者の回復に?がるならば,それは翻訳者一同としてこの上ない喜びである。(「監訳者あとがき」より抜粋) ●目次 著者紹介/序文/謝辞 第1章 双極性障害・序論 双極性障害の診断基準 疫学 双極性障害の経過 前駆症状 循環気質 双極性障害に関連する利点 高い社会的代償 おわりに 第2章 現在行われている治療のレビュー 薬物療法 心理療法 再発予防研究 急性期の治療 おわりに 第3章 双極性障害の心理社会的モデル 心理社会的研究:ライフイベントと再発 双極性障害における非機能的態度 ストレスー脆弱性モデルと治療的意味 第4章 双極性障害の認知行動的介入モデル 認知行動療法の概要 アプローチの詳細 治療の概略 おわりに 第5章 治療前評価 生活史と家族歴 クライアントの疾患認識と服薬コンプライアンス クライアントの自己意識,非機能的信念,スティグマ感覚 クライアントの疾患に対する全般的な対処と双極性障害の前駆症状への対処 クライアントの現在の気分状態 絶望と自殺傾向 社会的機能 クライ アン トが利用可能なフォーマルまたはイ ンフォーマルな社会的支援資源 第5章付録A Dysfunctional Attitude Scale (24項目版) (Powerら1994) 第5章付録B Manic Depression Questionnaire (Haywardら2002) 第5章付録C Self-Control Behaviour Schedule (Rosenlbaum 1980) 第5章付録D Intemal State Scale (ISS) 第2版 第5章付録E Mania Rating Scale (Bechら1978) 第5章付録F Altman Self Rating Mania Scale (ASRM) (Altman ら1997) 第6章 モデルの導入 モデルの基礎 情報提供用パンフレットの使用 問題リスト ライフチャート モデルを受け入れる際の問題点 おわりに 第6章付録A 双極性障害 (躁うつ病)--患者教育用パンフレット 第6章付録B 双極性障害と薬物療法 第7章 目標設定 はじめに 目標設定に関するトピックス 現時点での目標とより長期的な目標 段階的なアプローチ 達成可能な目標を設定することの重要性 目標達成の障害を同定する おわりに 第8章 認知的技法 はじめに 気分モニタリング 気分状態による認知の変化 非機能的自動思考の収集 自動思考へのチャレンジ 思考を症状として再構成 (リフレーミング) する 誇大思考に挑む 軽躁状態の利益と不利益 引き延ばし戦術 非機能的前提 第9章 行動的技法 はじめに 気分と活動の記録表 気分と活動の記録表を治療中に導入する 役に立つ行動的戦略 安全なスリル 前駆期の行動的指標の出現をモニタリングする おわりに 第10章 セルフマネジメントと前駆症状への対処 前駆症状の同定と対処 前駆症状のパター ンを明らかにし対処するためのクライアン トとの作業 その他のセルフマネジメント 第11章 長期的な問題,双極性障害と自己 自己:デカルト主義は今も健在 ステイグマ 罪悪感と羞恥心 喪失 怒り 回避 おわりに 第12章 家族および社会的側面 はじめに 一般的な家族の苦しみ 結婚または夫婦関係への影響 性欲の変化 育児について 成人期への移行に関する問題 社会的支援 第13章 対人関係とサービスに関連した問題 はじめに 対人関係 服薬コンプライアンス 自律性と選択 サービスの提供についての問題 文献/監訳者あとがき/索引

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