
慶次郎、北へ
新会津陣物語
ハルキ文庫 時代小説文庫
佐々木功
2018年5月31日
角川春樹事務所
770円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
豊臣秀吉が世を去り、五大老筆頭の徳川家康は、前田家を屈服させるなど、天下取りの野望を露わにし始める。そして次の標的を上杉に定めた。そんな折、前田慶次郎が会津に入り、穀蔵院飄戸斎の名で上杉に仕官する。上杉家の家老・直江兼続は家康を糾弾、会津攻めを誘う。それは上方の石田三成の挙兵と呼応した、家康を挟撃する一大作戦だった。狙い通り家康を西へ向かわせた上杉は、伊達、最上と東北の熾烈な戦いへ。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第九回角川春樹小説賞を受賞した著者が、天下のかぶき者の最後の戦いを描く!
本棚に登録&レビュー
みんなの評価(8)
starstarstarstar
読みたい
0
未読
4
読書中
1
既読
12
未指定
9
書店員レビュー(0)書店員レビュー一覧
みんなのレビュー (2)
参考になった順
新しい順
日の本一の俠の姿よ。
starstarstarstar 4.0 2020年03月14日
天下一の傾奇者として、豊臣秀吉からも後免状を与えられたほどの前田慶次郎(前田慶次)。
その生涯で最後の激戦となった、慶長出羽合戦を描く。
とても軽妙で人情がある一方で、ラストシーンでは戦の濃い匂いが漂う。されど、前田慶次郎が見せる生涯最後のかぶきを見せつけられる本作のの最後を読み終えた時の爽快感たるや。たった300頁ほどの文庫にとても重厚なストーリーが描かれている。
本作のポイントはいくつもあるが、とりわけ注目すべきは、前田慶次郎の"生き方"であろう。時代は戦国時代の終焉のため、登場する武将たちは総じて若い。(50代以上は前田、徳川、水原、本庄くらいだろうか)そのため若い人物に向けた教示、忠告、焚き付け。若い人物への後学のため、様々な姿で生きざまを見せつける慶次郎の行動と美学は、一興を感じざるを得ず 、天下一の傾奇者の名を欲しいままにしている。
他にも本作の大きなテーマ「信じる」がある。
舞台は利害が錯綜する関ヶ原。伊達、最上、徳川、そして前田が与する上杉。どの勢力を取っても、誰がどう動くかを見極めて、自勢力にとって一番の結果をもたらさねばならない。なぜなら、この機会で天下が定まってしまうからだ。そんな中で疑心暗鬼に苛まれる各勢力の主たちの作者は短い文章で巧妙に描く。伊達に片倉 、徳川に本田、最上と奥州の諸勢力、そして上杉と兼続。
そんな中、景勝から慶次郎に届く一通の短い書状、そこにはたった3文字「信じ候」だけが描かれる。 この主従の信頼関係こそが、前田が上杉に身を投じた理由の一つでもあったのだろう。
そして、「信」を胸に慶次郎は、生涯最後の激戦に挑む。この時の慶次郎の快活な胸のうちを思い、最後の慶次郎の後ろ姿を見た俊広の気持ちを思うと、一介の読者の自分も押し寄せるものがある。
「慶次郎は朱槍を担ぎ上げた。〜朱具足に赤い陣羽織の色鮮やかなな背中は、まるで真っ赤な紅葉に染まる山だった。〜天下のかぶき者、最後の合戦が始まろうとしている。,321」
中盤は先が読みにくく、離脱してしまいそうな場面もあるが、最後まで読みきるとここまで爽快感のある時代小説も珍しい。物語が進むほど、頁をめくる手が早くなる。そんな物語である。
このレビューはネタバレ要素を含みます全て見る
いいね0件
登録しました。
close

ログイン
Readeeのメインアカウントで
ログインしてください
Readeeへの新規登録は
アプリからお願いします
- Webからの新規登録はできません。
- Facebook、Twitterでのログイ
ンは準備中で、現在ご利用できませ
ん。
シェア
X

LINE
リンク
楽天ブックスサイト
楽天ブックスアプリ
© Rakuten Group, Inc.
キーワードは1文字以上で検索してください




NOB
いやーいいなぁ
こういう熱い侠の物語は大好物だ。 特に六十郎が元服する辺りは年のせいもあるかもしれないが、必死で涙をこらえながら読んでました。 みんなに守られていたってことをちゃんとわかった上で、決意を新たにする。いいですね。 順易の「侠をみにこんか。」という誘い方もいい。とにかく上杉の人間がみんなカッコいい。 そんななか政宗と小十郎も自分たちの思いを持ちながら動いているのもいい。 政宗絡みの話も読んでいきたいですね。 ああこれでまた積み本が増える… でもこれも読み手の楽しみですね。
全部を表示
いいね0件