あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇
時代小説文庫
高田郁
2020年9月15日
角川春樹事務所
682円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
大坂から江戸に出店して四年目、まさにこれから、という矢先、 呉服太物商の五鈴屋は、店主幸の妹、結により厳しい事態に追い込まれる。 型彫師の機転によりその危機を脱したかと思いきや、今度は商いの存亡にかかわる最大の困難が待ち受けていた。 だが、五鈴屋の主従は絶望の淵に突き落とされながらも、こんこんと湧き上がる泉のように知恵を絞り、新たなる夢を育んでいく。 商道を究めることを縦糸に、折々の人間模様を緯糸に、織りなされていく江戸時代中期の商家の物語。 話題沸騰の大人気シリーズ第九弾!!
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女心の複雑さには、微妙なものがある。人は誰しも自らの正義を信じて生きるものだ。その正義は血を分けた肉親であったとしても共有できるとは限らない。だから、もしそうなったら、こんな悲しいことはない。本書のヒロイン幸と妹の結は、ここにきて袂を分つ事になる。これから先、この姉妹がどのような生き方をするのか、まだまだ一波乱もふた波乱もありそうだ さて、五鈴屋が江戸進出して5年。この間に江戸っ子の粋好みに的を絞って作り出した小紋柄が大ヒット。五鈴屋江戸店の発展は順調に進むかに見えたが、そうは簡単に問屋が下ろさないのが物語の面白さである。しかし、一方では苦境の中にこそ次なる飛躍のタネが秘められているのが強運の持主の常である。この時代のアパレル小売は、呉服太物商と称した。絹織物に対して麻や木綿は繊維が太いから太物である。当時、庶民の普段着は木綿の中古品を用いていたようだ。だから、木綿の流通が圧倒的であるのは当然ではあるが、何と言っても呉服屋の金看板は絹織物である。組合から締め出された五鈴屋の前途に待ち受けるのは、その絹織物の取り扱い禁止であった。どうやって利幅の薄い太物で事業の発展を期すのか。そのキーポイントは小紋の時と同様『粋』であった。それまで実用一点張りであった浴衣を現代のようにお洒落な装いに一転させる発想の転換があったのだ。
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橘薫
決して忘れてはならないこと
実の妹、結の裏切りに翻弄され、次々と難題に襲われる五鈴屋。 ついには呉服屋としての商いができなくなり、太物商いがをするしかなくなる。 しかし、幸は負けない。 大阪に戻り、懐かしい面々に会い、江戸に戻ればまた応援してくれる人々との邂逅がある。 幸が必ず道を切り開く様は読んでいて胸がワクワクする。
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