
あきない世傳 金と銀(十) 合流篇
時代小説文庫
高田郁
2021年2月15日
角川春樹事務所
682円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。 だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。 男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい──そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。 両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。 果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。 五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾!!
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世の中にヒット商品と呼ばれるものは数あれども、その商品によって人々のライフススタイルに変化を及ぼすものとなると、そうはないだろう。たとえば、内燃機関の発明である。モータリゼーションの発達によって人々はそれまでと比較にならないほどの移動の自由を手中にした。もっと身近な例で言えばスマホである。スマホが普及することで、私たちの生活にはどんな変化が生じただろうか。私の実感から言えば、電話をしなくなったことが、第一であろうか。殆どの用事はメールで済ませてしまっている。次いでスマホの登場機会が多いのが買い物である。ネット通販、キャスレス決済が当たり前になっている。その次は音楽であろうか。自宅でも車の中でもスマホからBluetoothで飛ばして音楽を聴いている。音楽といえば、今は昔になるがウォークマンである。若い人は知らないだろうが、小型のカセットテープ再生器である、ヘッドホンで聞くのだ。自宅に大型の音響機器を設置して音楽を聴いていたものが、屋外であろうが何処でもまた何時でも音楽を手軽に聴けるようになったのである。まさに、ライフスタイルに大きな変化をもたらした商品である。 それは、何も科学技術ばかりとは限らない。例えば浴衣である。夏ともなればお洒落な浴衣に身を包んで花火大会、盆踊りにと出かける楽しみは若者だけの特権ではなかろう。この浴衣、そもそもは湯あみ帷子と言って、その昔、入浴がスチーム風呂であった時、肌を保護するためのものであった。江戸中期になると湯船に裸で入るようになり、湯あみ帷子は、現代のバスローブよろしくは湯上がりの汗を拭き取るためのものとなり、やがては湯屋への行き帰りに着てもおかしくないお洒落なものへと変化していったのである。まさしく江戸庶民のライフスタイルに変化をもたらした浴衣が、どのように作り出されたのか。五鈴屋江戸本店の幸や奉公人たちは、職人たちと知恵を寄せ合って浴衣地の開発に挑む。のであった。
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橘薫
時来たれり
藍の浴衣で虎視眈々と巻き返しを狙う五鈴屋。 思惑通り人の心を打ち、皆が浴衣を求める。 それも全て、ただ金銭のやり取りでなく、それぞれの職人の思い、幸達商売人の想いあってこそ。 お梅どんと梅松さんの話もすごく良かったし、菊栄姐さんの肝の据わり方、先々を見通す力にも感服。
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