
国会話法の正体
政界に巣くう怪しいレトリック
藤井 青銅
2022年12月26日
柏書房
1,870円(税込)
人文・思想・社会
「記憶にございません」「お答えは控えさせていただく」「遺憾に思う」「誤解を招いたとすれば……」「ご指摘はあたらない」等々、国会や記者会見で政治家や官僚たちが繰り出す、まったく説得力のない答弁や謝罪。近年の「ご飯論法」にも顕著な「話のすり替え」答弁ーーこれら「何も言っていないのに、何か言ったように思わせる」「何がなんでも非を認めない」言葉を繰り返し聞かされて国民は無力感すら覚えているだろう。しかしそれこそが相手の狙いなのだとしたら? やはり、誠意のない答弁には「それはおかしい」と声を上げ続けるしかないはず。 本書では、こうした説明義務を放棄したかのような答弁を「国会話法」と名付け、そこに潜むさまざまな「ごまかし」「論点ずらし」「物事の曖昧化」テクニックを、構文解析図で可視化、徹底的に検証していく。 権力者たちが駆使する「誠意のない言葉」「怪しいレトリック」に対するリテラシーを高め、有権者としての政治への意識を研ぎ澄ますことのできる一冊。 巻末に収録した「架空国会中継」では国会答弁の見どころ・ツッコミどころの楽しみ方も解説、ニュースや国会中継に接するのが100倍楽しくなる! はじめに〜いつか見た再放送 第一章 国会話法の構文解析 1 逃げ道用意型 「記憶にございません」〜キング・オブ・ごまかし 2 謝罪偽装型「遺憾である」〜はたして謝っているのか? 3 とすれば型「誤解を招いたとすればお詫び申し上げたい」〜「事実」を「仮定」に 4 門前払い型1「批判はあたらない」〜拒絶のトライアングル 5 門前払い型2「仮定の話にはお答えできない」〜それでは未来は語れない 6 門前払い型3「詳細は承知していない」〜承知しなさい! 7 勝手に控える型「お答えを差し控えさせていただく」〜控えなくてよい 8 あたり前型「丁寧に説明していきたい」〜何も言わない、しない 9 ポエム型 理屈がないとポエムになる 第二章 国会周辺話法の構文解析 1 あたり前型(マスメディア編)「あってはならないこと」〜前から危惧していた……のか? 2 希釈・還元型「大半はちゃんとしている」〜そしてチャラにする 3 私はわかっている型「選びたい人がいない」〜何もしない理由がほしい 4 錯覚型「政治を持ち込むな」〜食い合わせとの共通点 5 批判封じ込め型「野党は批判ばかり」〜批判は悪いことなのか? 6 悪口冷笑型「マスゴミ」〜冷笑することで自分を守る 第三章 煙に巻くテクニック 1 物量作戦〜大声で何度も言う 2 虫眼鏡作戦〜小さな文字でびっしり書く 3 隠密作戦〜目立たない所にそっと出しておく 4 粘着質作戦〜しつこくいやがられることが大事 5 悪文作戦〜悪文には意味がある 6 難解作戦〜カタカナとSDI略語 7 権威作戦〜引用と煩雑 8 続・粘着質作戦〜うんざりされても気にしない 9 ジャーゴン作戦〜排他性と解説役 10 あと出し作戦〜訂正は目立たずに 巻末付録 ショーアップ国会中継 おわりに〜「国会話法」を捕まえろ!
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