正規の世界・非正規の世界

ーー現代日本労働経済学の基本問題

神林 龍

2017年11月8日

慶應義塾大学出版会

5,280円(税込)

人文・思想・社会

労使自治は“桎梏”か“根幹”か?著者は現代の労働市場で最も顕著な問題を「正規の世界と非正規の世界の不釣合いな関係」と捉え、富国強兵からシャッター商店街に至る1世紀余りを労働経済学・数量経済史・法と経済学など多彩なアプローチ・分析手法を用いて概観。現在から未来へとつながるわが国の働き方のトレンドを展望する渾身の力作!

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(無題)

-- 2018年12月09日

正規の世界・非正規の世界 神林龍著 安定していた「日本的雇用慣行」 批評 2018/2/10付日本経済新聞 朝刊 保存 共有 印刷 その他  近年、様々な経済問題の中で労働・雇用に関する問題が特に広く関心を集めている。人々の生活に直接、関わるという事情に加えて、特に日本では最近、非正規雇用、ブラック企業、働き方改革など、関連する事象が経済論壇の焦点となっていることが背景にある。こうした状況を反映し、日本の労働・雇用に関して多くの研究が生まれてきた。 (慶応義塾大学出版会・4800円) かんばやし・りょう 72年生まれ。一橋大教授。東大院博士課程修了。編書に『解雇規制の法と経済』、共著書に『日本の外国人労働力』。 ※書籍の価格は税抜きで表記しています 画像の拡大 (慶応義塾大学出版会・4800円) かんばやし・りょう 72年生まれ。一橋大教授。東大院博士課程修了。編書に『解雇規制の法と経済』、共著書に『日本の外国人労働力』。 ※書籍の価格は税抜きで表記しています  労働・雇用は法律などの公式の制度や非公式の慣行と密接に関係し、そして制度や慣行には「経路依存性」がある。こうした経済分析の対象としての性質は、多かれ少なかれ他の対象にもあるが、労働・雇用は特にその程度が大きい。それだけに経済学、計量経済学など経済分析の手段だけでなく、法学、経済史学など、幅広い分野の深い理解が必要とされる。本書の中で著者は、この点に関する優れた能力をいかんなく発揮している。  本書は個人別のミクロデータの分析から得られる発見を、労働・雇用の全体構造と結びつけて議論を組み立てる。政府統計の個票(個別の)データの利用可能性の拡大や研究者によるデータ構築の努力によって、ミクロデータを用いた研究が労働経済学の主流となっている。労働・雇用に関する理解が飛躍的に進展した半面、労働市場や雇用関係の全体像は研究者の関心の後景に退いた。著者は近年の研究動向がはらむこうした問題を乗り越えることを意図し、いくつもの重要な知見を導いている。  その一つは、「正規」雇用の下にある被用者について、長期雇用・年功賃金という「日本的雇用慣行」の特徴が1990年代以降、今日まで安定的に存続してきたことである。「非正規」雇用の拡大でこうした慣行の下にある被用者のシェアが低下したという反論が予想されるが、著者はデータ分析に基づいてそれも棄却する。確かに非正規雇用は拡大したが、正規雇用のシェアは安定し、非正規の拡大は自営業の縮小と対応している。著者は、労働経済学の対象とされることが少ない自営業について労働・雇用研究の一環として分析することの必要性を提起する。  ここで紹介したのは多岐にわたる本書の内容のごく一部にすぎない。本書は日本の労働・雇用研究に新しい局面を開いたといえる。 《評》東京大学教授  岡崎 哲二

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