旧約聖書

〈戦い〉の書物

世界を読み解く一冊の本

長谷川 修一

2020年9月19日

慶應義塾大学出版会

2,640円(税込)

人文・思想・社会

▼シリーズ「世界を読み解く一冊の本」(全10巻)、第七弾。 ▼人類普遍のベストセラー、旧約聖書はいかにして生まれたのか。 旧約聖書の書物としての成立をたどり、テクストが描く「歴史世界」と激動の古代イスラエル史を対比させ、著者たちが「文字」のもつ信頼性を武器に、自らのアイデンティティを懸けて繰り広げた思想史上の〈戦い〉を考古学・聖書学の知見に基づき鮮やかに読み解く、刺激的な一冊。 序  文字の力  聖書=平和の書?  〈戦い〉の書としての旧約聖書  「旧約聖書」という呼称  旧約聖書物語のあらまし  「古代イスラエル」略史  旧約聖書のたどった歴史 I 旧約聖書の成り立ち  アンソロジーとしての旧約聖書  正典としての旧約聖書  異なる正典  著者は誰か  正典形成の過程 II イスラエル誕生をめぐる〈戦い〉--原イスラエルとは  「イスラエル」の登場  動乱の時代  ヨシュア記対士師記  「イスラエル」の物質文化  「歴史的イスラエル」、「原イスラエル」、「聖書的イスラエル」  イスラエル誕生をめぐる〈戦い〉  「歴史的イスラエル」誕生の背景 III 神のアイデンティティをめぐる〈戦い〉--われわれの神は誰か  忘れ去られた神名  神の自己紹介  先祖の神  ヤハウェは父祖の神か  神か神々か  全能の神  神の出身地  人名に見られる神名  バアルとの〈戦い〉 IV 「真のイスラエル」をめぐる〈戦い〉--北イスラエル王国滅亡後  「イスラエル」の栄光  北イスラエル王国の滅亡と南ユダ王国の台頭  「真のイスラエル」の継承者  アケメネス朝時代における「真のイスラエル」論争 V 祭司の正統性をめぐる〈戦い〉--どちらの地位が上か  「祭司」と「神官」  「祭司」とは何か  「聖なる場所」と権力  「契約の箱」と幕屋  祭司の資格  祭司ヒエラルキー  レビ人とは何か  王国時代のエルサレムの祭司  アケメネス朝時代の祭司の系図  アロン対モーセ  王国時代以前における正統性をめぐる〈戦い〉  〈戦い〉の決着  食肉をめぐる〈戦い〉 VI 「神の言葉」をめぐる〈戦い〉--預言者対祭司・書記  旧約聖書の預言者  預言者の資格  古代西アジアにおける預言者  預言者の活動の場  王国滅亡後の預言者  預言者対書記 VII 結婚をめぐる〈戦い〉--「国際結婚」は合法か  産めよ、増えよ  王国時代以前の「国際結婚」の記述  王国時代の「国際結婚」  アケメネス朝時代の「国際結婚」  相続をめぐる〈戦い〉  離婚への反対 結  知の衝突・融合  文明の十字路  〈戦い〉の書としての旧約聖書  旧約聖書の読み方 注 参考文献 あとがき

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