核時代のテクノロジー論

ハイデガー『技術とは何だろうか』を読み直す

いま読む! 名著

森 一郎

2020年3月25日

現代書館

2,420円(税込)

人文・思想・社会

1927年の『存在と時間』という歴史的名著によって20世紀の哲学・思想における名声を確たるものにしたハイデガーの後期重要作『技術とは何だろうか』は、まさに今日こそ読むに値するものだ。元素を「挑発」して地上に虚無化を現出させる20世紀の人類史的出来事を踏まえたハイデガーの技術論は、本書のタイトル通り、核時代のテクノロジー論の始まりの位置に立つとともに、現代、そして未来にまで届く恐るべき生命力を持っている。本書では、『技術とは何だろうか』を中心に据えて、『存在と時間』はもちろん、そのほかのハイデガーの講演、さらには、同時代の同伴者であったアーレントからアリストテレス、プラトンなど古代ギリシア哲学まで幅広く目配せをしながら現代技術の根本に潜む光と影を考えていく。そして終章において、3・11以後の技術論の展望ーー何百年何千年も隔たった人びとどうしの相互協働の余地、隔世代倫理の可能性ーーを試みる。 序章 ナチズム問題とテクノロジー論 第1章 ソフィア・フロネーシス・テクネーーーもしくは哲学・政治・技術 第2章 物と世界ーー「物」講演 第3章 ハイデガーの建築論ーー「建てること、住むこと、考えること」講演 第4章 テクノロジーを哲学するーー「技術とは何だろうか」講演(1) 第5章 救いとなるものとは何かーー「技術とは何だろうか」講演(2) 第6章 作ること、労わること、保つことーーポイエーシスの多義性 終章 隔世代倫理へ

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