病いの語りによるソーシャルワーク

エンパワメント実践を超えて

栄 セツコ

2018年10月20日

金剛出版

3,300円(税込)

人文・思想・社会

近年,精神障害者の地域移行や地域生活支援が提唱されるなかで,精神障害者の支援も単に個別支援やグループの支援だけではなく,地域そのものに理解を求めたり,地域生活に必要な資源を開発したりする必要性が強まってきた。精神障害者の場合は,特に偏見をどのように低減していくかが大きな課題となっている。抑圧的な環境のなかで,パワーレスな状態にある精神障害者が一人の市民としてのアイデンティティを確立し,本人自身が抑圧的な社会環境を変えていく方策を解明することが喫緊の課題と言える。 本書では,精神の病いを患うことでパワーを喪失した人々がどのように自らの声を取り戻し,病いをもちながらも自分らしい生活を再構築していくのか,その当事者と協働する援助専門職のエンパワメントに基づく支援モデルを提示した。 その支援の独自性として,当事者の病いの語りに着目したことが挙げられる。病いの語りには精神の病いを経験することで得た生活の知恵が織り込まれていることに価値を置き,その語りがもつ力を,ミクロレベルを超えてメゾレベル,エクソ・マクロレベルの実践に活用する活動を試みた実践である。その一方で,エンパワメント実践を試みる援助専門職がもつ権力性にも言及している。 広く精神障害者の支援に携わるソーシャルワーカーの方々に読んでいただき,ソーシャルワーカーのメゾレベル,エクソ・マクロレベルの実践の可能性を考える機会になれば幸いである。

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