スーパー・ハイテク艦「大和」（1）

宇宙科学の最先端をゆくスペースシャトル『流星』が、種子島宇宙センターから打ち上げられた直後、消息を絶った。搭乗していた宇宙飛行士は、松阪、国松、そして柴田の三人だった。緊急事態を心配する日本国民をよそに、なんと三人が行き着いたところは、１９４２年の太平洋戦争の真っ只中だった。現代からさかのぼること五十数年前の世界に、現代科学技術の粋がタイムスリップしてしまったのである。当時、真珠湾奇襲攻撃を成功裏におさめたばかりの大日本帝国海軍は、破竹の勢いで内南洋にコマを進めてはいたものの、超大国アメリカの大反攻は時間の問題だった。連合艦隊司令長官の山本五十六大将との知遇を得た三人の宇宙飛行士は、日本の、そして世界の歴史をも改変してしまうことを危惧しながらも、アメリカに対抗すべく連合艦隊に協力することになった。彼らは、大型潜水艦伊２１潜をスーパー・ハイテク艦『大和』に、スペースシャトル『流星』を特殊潜航艇『信玄』に改良し、戦雲高まる太平洋へと勇躍乗り出した。シミュレーション小説の新しい世界を拓く、戦争と人間の熱いドラマを描いた傑作。