円谷英二の卓越化

特撮の社会学

真鍋 公希

2023年3月15日

ナカニシヤ出版

3,080円(税込)

エンタメ・ゲーム

「特撮」はどのように生まれたのか? 円谷英二はなぜ、どのように「特撮の神様」になったのか? 広く資料を渉猟しながら、ゴジラやウルトラマンの「生みの親」と呼ばれる円谷の「卓越化」の過程を問い、その社会的背景へと迫る! 内容:円谷英二はなぜ、どのように「特撮の神様」になったのか。これが本書の中心となる問いである。[…]分析の俎上に載せられるエピソードのほとんどは、すでにファンのあいだではよく知られたものである。その意味で、本書は円谷に関する新たな「事実」を提示するものではない。だが、視点が変われば同じ対象も異なって見える。ちょうど、特撮の映像が本当の街並みに見えることもあれば、ミニチュアに見えることもあるように。それと同じく、本書では周知の「事実」を社会学の視点から論じることで、そこに潜在する新たな意味を見出していきたい。(「まえがき」より) 真鍋公希(まなべ こうき) 1993年香川県生まれ。関西国際大学講師。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。社会学(文化社会学) 第一章 円谷英二の謎 一 社会学的な観点からの特撮論 二 演出/制作における円谷の特徴 三 「特撮の神様」への道 第二章 場の理論という視座 一 基本概念と思想的背景ーー分析視座としての場の理論(一) 二 理論の特性ーー分析視座としての場の理論(二) 三 場の理論と経験的な知見 第三章 円谷英二の歩み 一 円谷英二の略歴 二 執筆記事の量的内容分析 第四章 キャメラマンから特撮技師へ 卓越化の過程(一) 一 円谷英二のハビトゥス 二 キャメラマンの下位場 三 映画場の構造 第五章 特技監督の確立 卓越化の過程(二) 一 円谷の作者化 二 物語からの特撮の自立化 三 日本映画の黄金期 第六章 映画産業の斜陽化への対処 卓越化の過程(三) 一 資本の運用 二 健全さへの準拠 第七章 技術解説の影響 知覚規範の形成 一 特撮を見る経験と技術解説記事 二 二つの「空白」とその補完 第八章 円谷英二の遺産 一 議論のまとめと問いへの答え 二 遺産の継承 付録 一九五〇年代後半の「作品の空間」の描出 一 場の理論における「作品の空間」概念の位置づけ 二 方法とデータ 三 分析結果と軸の解釈 四 第五章の論拠について

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