歌う人

わたしのゆるぎない転身を、ひとつの幕を、あなたに わたしの知るすべての時を生き抜こうと疾駆する そのまなざしの先へ春がめぐるたび届けにゆく （「春の錬成」） 「いま私たちは途方もない声量を持った若々しいとても大きな才能に出会っている」（吉田文憲）、「詩が奏でる沈黙の楽音に接するたび、ワタシニハワカラナイとつぶやく不肖の読者が自分の中にいる」（室井光広）。わたしたちの静かな闇が希われるときまでーー。第1詩集。装幀＝白本由佳