近代日本の空間編成史

中川 理

2017年5月2日

思文閣出版

8,580円(税込)

人文・思想・社会 / 科学・技術

わが国戦前の空間はどのように編成されてきたのかーー。 それは重要な研究課題であるにもかかわらず、従来、個別の事業史の議論にとどまる傾向にあった。  本書はそうした状況を乗り越え、日本の近代化過程という歴史全体のなかで議論することを掲げ、インフラストラクチャーと制度や政治、あるいは共同体などとのかかわりを考究。建築史、都市計画史、土木史、造園史、歴史学など歴史的研究に携わる一線の研究者が、広くわが国の空間変容の実相を描き出す。 序章 近代日本の空間編成史の試み(中川理) 第1部 切断か継続か 第1章 東京市区改正計画の具体化に関する一考察(松山恵) 第2章 開港地建築家ブリジェンスの足跡(大田省一) 第2部 併存する統治 第3章 「軍都」の形成と都市基盤ー第九師団管下金沢の事例を中心にー(本康宏史) 第4章 神戸背山の開発と風致保護ー部落有林野の解体と山地の近代化ー(山口敬太) 第5章 財閥組織と都市経営ー三菱財閥の「丸の内」-(野村正晴) 第3部 統制的システムの構築 第6章 基盤編成の一九三〇年代ー昭和恐慌下の三陸漁村と津波復興(青井哲人・岡村健太郎・石榑督和) 第7章 戦時下広畑一帯の工業開発と新興工業都市計画(中野茂夫) 第8章 植民地期「京城」の工業都市化と都市計画(石田潤一郎・金珠也) 第4部 システムの内と外 第9章 近代都市計画の技術的基盤ー土木技師・梶山浅次郎にみるその体現ー(木方十根・味園将矢) 第10章 朝鮮巨大電源開発の系譜ー大井川から赴戦江へー(谷川竜一) 第11章 郊外住宅地開発に見られた方位観と寺院の誘致(中川理) 第5部 非公共の回収 第12章 植民地朝鮮の公設洗濯場の施設計画をめぐって(砂本文彦) 第13章 帝都における風致地区(丸山宏) 第14章 風景の「近代化」-瀬戸内海風景の発見と創建ー(小野芳朗) あとがき/索引(人名・事項)/執筆者紹介

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