貴族とは何か、武士とは何か

倉本一宏

2024年3月1日

思文閣出版

11,000円(税込)

人文・思想・社会

約四百年にもわたり、貴族が栄華を誇った平安時代。平和な世から武士が発生し、政権を樹立するまでに至ったのはなぜか? 貴族たちはなぜ武家政権の成立を許したのか? そして武家政権下で公家が存続できたのはなぜか? 「貴族と武士」という日本史の最重要テーマを、古代・中世・近世・近代・東洋史の研究者約40名が集い議論する。 はじめに 第一部 古代 摂関期の武人と貴族(寺内 浩) 摂関期における武者の「優免」(倉本一宏) 「王朝国家軍制論」の擁護ー批判への回答(下向井龍彦) 「王朝」観念と“貴族道”(関 幸彦) 嫁取儀礼の成立ー貴族と武士の婚姻儀礼の変容(服藤早苗) 一〇世紀の貴族社会における狩猟ー狩猟を伴う行幸を中心に(堀井佳代子) 平安貴族の新宅・移徙の儀についてー敦煌文書宅経との比較研究(龔 婷) 平安貴族と「ゐなか」(久葉智代) 平安・鎌倉期の出産儀礼と公武ー着帯儀を中心に(東海林亜矢子) 武士と触穢に関する覚書(上野勝之) 五体不具穢とは?(佃 美香) 相撲・相撲人と武芸・武士(森 公章) 牛車をめぐる対話ー新井白石と公家文化(京樂真帆子) 一〇世紀後葉地方軍制の一齣(告井幸男) 第二部 中世 武士論の成果と課題(呉座勇一) 平安末〜鎌倉時代の摂関家と武家勢力(樋口健太郎) 文士と武士ー鎌倉幕府評定衆家の軍事(田中 誠) 貴族はいかにして生き残ったかー藤原俊成を取りまく女性たちを中心に(美川 圭) 里内裏についてー両統迭立期の内裏 (野口孝子) 建武政権による元代仏教導入の試みー渡来僧と聖節法要(榎本 渉) 室町幕府将軍御台被官と附庸奉公衆(木下 聡) 室町殿「公家化」の儀礼空間(松永和浩) 伊勢国司北畠氏は「公家・貴族」か(岡野友彦) 公家と武士のキメラー鎌倉将軍藤原頼経(青山幹哉) 「坂東武士」のイメージ(野口 実) 「武士団」という語の成立について(高橋昌明) 後鳥羽上皇や有力廷臣の笠懸などの武芸と馬場ー水無瀬離宮・上賀茂社を中心に(豊田裕章) 第三部 近世・近代 近世前期、「首都江戸」の京都文化の摂取に関する考察ー権力都市・政治都市の権威化(大石 学) 萩藩毛利家における公武婚(石田 俊) 公家の震災復興と大名家ー文政京都地震を中心に(磯田道史) 華士族身分と「家」意識ー名族後裔による改姓事例の紹介(松田敬之) 麝香間祗候の役割ー嵯峨実愛の動向を中心に(刑部芳則) 第四部 武士の国際比較 中国における文と武ー侠と武人、門閥貴族、士大夫・郷紳と文人(伊東貴之) 武と文ー馬上で天下を治むるをあたわず(劉 暁峰) 武士と中国文化ー「児干説話」の検討を中心として(榎本淳一) 「白馬の禍」からみる中国古代史の文武関係(梁 暁弈) 八〜一〇世紀の東アジアにおける「自立する『武』」の台頭とその行方(宋 浣範) 西洋の騎士と王権の関わりーカスティーリャ・レオン王国を事例として(滝澤修身) 研究会の記録

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