相対性理論
物理学レクチャーコース
河辺 哲次
2023年11月29日
裳華房
3,300円(税込)
科学・技術
物理学の教育・学びの双方に役立つ21世紀の新たなガイドとなることを目指し、多様化する“大学の講義と学生のニーズ”に応えるものとして刊行された、『物理学レクチャーコース』の一冊である。 本シリーズでは、講義する先生の目線で内容を吟味する編集委員に加え、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターの須貝駿貴さんと予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師のヨビノリたくみさんに編集サポーターとして加わっていただき、学習する読者の目線で、テキストの内容がよりわかりやすく、より魅力的なものになるように内容を吟味していただいていることも、大きな特徴の一つとなっている。 本書で扱う相対性理論は、アインシュタインが1905年に提唱した「特殊相対性理論」である。この理論のもつ「時間と空間」(時空)の概念から、「同時刻の相対性」「時計の遅れ」「ローレンツ収縮」などの一見『非常識的な現象』が導かれる。しかしながら、これらはすべて、私たちが素朴に信じている(ガリレイの相対性原理に基づく)ニュートン力学の時空概念を、アインシュタインの「光速度不変の原理」に基づいて見直せば、ごく自然に導かれる『常識的な現象』なのである。本書では、これらのことを様々な例を用いて解説すると共に、相対論的に拡張された電磁気学と力学の基礎方程式を、関連した諸問題に適用して解く方法を解説した。 また、相対性理論の数学的な構造を学ぶときに必要になる、共変ベクトルや反変ベクトル、テンソルなどの考え方を豊富な図を用いてやさしく解説し、あわせて計算過程を詳しく示すことによって、ベクトルやテンソルの具体的な計算方法とそれらの効用がわかるようにした。 さらに、相対性理論の書籍では簡素な説明になることも多い「高エネルギー粒子の運動状態」についても詳しく解説した。 このような多岐にわたる内容を踏まえることにより、読者が相対性理論の「基礎と応用」を正しく理解できるようになることを本書の目的としている。同時に、本書を通じて、特殊相対性理論のもつ時空構造の深遠さや論理構造の美しさも実感できるようになれば幸いである。 1.はじめに 2.特殊相対性理論 3.ローレンツ変換 4.ローレンツ変換の「見える化」 5.相対性理論に基づく諸現象 6.相対性理論に必要な数学ツール 7.相対論的な電磁気学 8.相対論的な電磁気学に基づく諸現象 9.相対論的な力学 10.相対論的な運動学に基づく諸現象
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