日本浪曼派の時代

保田與重郎文庫

保田与重郎

1999年4月30日

新学社

1,320円(税込)

小説・エッセイ / 人文・思想・社会 / 文庫

昭和四十四年十二月、至文堂から刊行された本書は、「国文学解釈と鑑賞」の昭和四十二年四月号から二十六回に亘って連載された稿を一本としたものである。大阪高校の級友たちと始めた同人誌の後身ともいうべき「コギト」に拠って、本格的な執筆活動を開始した保田は、昭和十年に至って中谷孝雄、亀井勝一郎らとともに「日本浪曼派」を創刊する。同誌は後に佐藤春夫、萩原朔太郎、伊東静雄、太宰治なども参加するに及んで一大文学運動の観すら呈した。本書は戦争を挟んで三十年後に、当時の交友や文学者の消息、文学界の事情などを回想した書である。併し単なる文学史の資料や時代の証言の類とは趣きを異にし、自らのめざした文芸の質を振り返って確認しようとした確信的なメモアールと云うべきであろう。

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