エリートたちの反撃
ドイツ新右翼の誕生と再生
フォルカー・ヴァイス / 佐藤 公紀
2020年7月18日
新泉社
2,750円(税込)
人文・思想・社会
2010年8月、ドイツ連邦銀行理事で、SPD(ドイツ社会民主党)に属するエリート官僚のティロ・ザラツィンは、『ドイツは自滅する』という本を上梓した。この本でザラツィンは、「これ以上の移民流入はドイツを破滅させる」と、ドイツではタブーとされていた「反移民・反ユダヤ」論を公然と主張し、ドイツに「ザラツィン論争」を巻き起こした。 この論争に加え、冷戦の崩壊とドイツ再統一後の新たな社会秩序の中で起こったグローバル化と経済危機、それによる社会不安などのために、この本は数カ月で120万部を売り上げるベストセラーとなったのである。 ザラツィンは、ドイツ没落の予言書ともいえるこの本で、大衆の台頭がエリートを失墜させ、移民流入が民族に危機をもたらすと唱えたが、これはドイツに古くからある没落論のテーゼであった。 著者ヴァイスは、ザラツィンの主張は決して新しいものではなく、シュペングラーやユングなどの、「文化ペシミズム」や「没落文学(没落論)」という新右翼の誕生につながるドイツ保守思想の一つにすぎないことを示した。 しかし、ザラツィンによって説き起こされた「エリート」「能力」「遺伝」をめぐる議論は、右翼の中だけではなく、いまや一般のドイツ人にまで届くものとなった。それが新右翼の隆盛につながっていくという事実を、読み取ることができる一冊である。 第1章 二〇一〇年の黙示録ードイツは自滅するのか? 第2章 ドイツの没落 第3章 自覚ある国民への道 第4章 人間工学的転回 第5章 大衆に対する不安 第6章 人口統計学と危機 第7章 言論闘争のパルチザンたち 第8章 偽りの予言者たち 注 解説 現代ドイツ政治と「新右翼」 佐藤公紀 資料
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