精神疾患言説の歴史社会学

「心の病」はなぜ流行するのか

佐藤雅浩

2013年4月1日

新曜社

5,720円(税込)

医学・薬学・看護学・歯科学

◆現代の「うつ病」流行にも示唆 ノイローゼ、うつ病などの「心の病」(精神疾患)には、あきらかに「流行」 があります。日露戦争前後に「神経衰弱」「ヒステリー」がはやり、大正期に は「外傷性神経症」が現われ、第二次大戦後には「ノイローゼ」が大流行しま した。このような流行はどのように発生し、流布したのでしょうか。日本近現 代の精神疾患についての言説を、『朝日新聞』『讀賣新聞』などの記事(生活 相談など)のなかにたどり、専門家集団(帝大を頂点とする精神医学者)、マ スメディア(大衆紙)、患者の三者のダイナミズムをとおして形成される「流 行」が個人と社会・時代の関係の表現(社会認識)であること、そして精神疾 患(言説)の歴史をさぐることは「社会の境界(ゆらぎ)」を明らかにするこ とであるという魅力的な主張が展開されます。気鋭の力作評論です。

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