
ポスト構造改革の経済思想
石水 喜夫
2009年3月15日
新評論
2,420円(税込)
ビジネス・経済・就職
今こそ、市場経済学から政治経済学へ! 経済学には歴史性があり、思想性がある。 構造改革の時代には、アダム・スミスの流れをくむ新古典派経済学が強い勢力を築き、経済運営や政策検討など様々な場面でその思想性を遺憾なく発揮してきた。18世紀後半、『国富論』を著したスミスは、人口が増加し植民地が拡大するイギリスに生き、あり余る投資機会を前に人々の覇気に満ちた行動によって市場経済のフロンティアを切り開いていくことに確信を持った。それが「神の見えざる手」の経済思想であった。 一方、『一般理論』を著したケインズは、20世紀の前半に生き、投資機会が飽和し完全雇用を実現することができない社会を目の当たりにした。そして、投資を社会化し、国際的な協調行動をとらなくては、経済の安定を図ることはできないと考えた。 日本経済の基礎的条件を冷静に観察すれば、現代は、スミスの時代から180度転換している。ところが、現代経済学主流派は、市場メカニズムに高い信認を置く新古典派経済学に占められ、1990年代半ばから今日まで構造改革の時代を主導してきた。勢いを増す「市場経済学」によって政策適用のねじれ現象が生み出され、その決定的な誤りによって人々の生活から生きがい、働きがいが奪われている。 本書は、こうした閉塞的状況を打ち破ることを企図し、三部構成で議論を展開する。 第1部「転換期の日本社会」では、情報化、グローバル化、人口減少などの視点から、日本経済の基礎的条件を歴史的に研究し、政策適用のねじれ現象を引き起こした「市場経済学」を俎上に載せる。第2部「経済学と経済思想」では、経済学の持つ歴史性と思想性について論じ、第3部「経済思想の変革と創造」では、生きがい、働きがいを取り戻すため、「神の見えざる手」から人の命を奪い返すことを訴える。 人は自らの命の力によって、それぞれ多様な価値を生み出すことができる。こうした多様性の上に、互いに認め合うことのできるより大きな社会的価値を創造していくことを目指し、ポスト構造改革の時代を切り開く「政治経済学」に焦点を当てる。
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