
積極財政宣言
なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか
島倉原
2015年4月24日
新評論
2,750円(税込)
ビジネス・経済・就職
リーマン・ショック以降、経済の長期停滞は日本のみならず先進国共通の問題となりつつある。世界恐慌当時と同様、現実を説明できない主流派経済学は信認を失いつつある。 本書は、職業的経済学者ではない筆者が、「積極財政論」「内生的景気循環論」という立場から、経済の長期停滞の原因と巨大金融危機の周期的な発生メカニズムについて包括的な解明を試み、政府の長期にわたる支出抑制こそが日本の「失われた二〇年」の原因であることを論証したものである。読者が難解な経済学の知識を持つことを前提とはせず、筆者自身の実務経験も踏まえた、豊富なデータに基づく実証的な議論を展開している。 とはいえ、本書は学術的論点を軽視した書物ではない。豊富な実務経験を持っていたケインズの『一般理論』をルーツとする積極財政論はもちろんだが、内生的景気循環論もまた、シュンペーターが遺作『経済分析の歴史』で喝破したように、資本主義経済の基礎的理論となるべきにもかかわらず、非現実的な主流派経済学から異端の烙印を押された、実務家中心に発展してきた理論である。その意味では、現代の実務感覚に基づき、二〇世紀の二大経済学者が遺したヴィジョンの復権を目指した試みとも言えるだろう。 政府支出を持続的に拡大する積極財政こそが、経済の停滞のみならず、格差、大規模災害、エネルギーといった国民的課題の解決に不可欠である。これに対して、アベノミクスで行われている大規模金融緩和や構造改革は、いわゆるリフレ派や新自由主義に基づく誤った経済政策であり、経済全体の不安定性や格差を拡大するものでしかない(消費税増税で明らかなように、「機動的な財政政策」もまた、積極財政論とは異質のものである)。多くの国民がこうした現実を理解することが、より良い未来への第一歩となるであろう。(しまくら・はじめ)
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