地方創生を考える

偽薬効果に終わらせないために

諏訪雄三

2015年9月25日

新評論

3,080円(税込)

人文・思想・社会

少子高齢化や人口減少が引き起こす地域の問題、たとえば、空き家の急増や外資による山林の買収、老朽化する公共施設の統合・整理、コミュニティーの維持など、さまざまな課題を取材してきた。その現実は深刻であり、多くの自治体が試行錯誤しながらも何とか対処している。  そんな時、安倍晋三首相が「地方創生」を言いはじめた。二〇一四年夏頃のことだった。人口減少という重い現実を直視し、日本の将来に向けて政治的なアクションを起こした、と少しは評価できるかなと思った。国を守るためと称して安全保障法制を抜本的に見直し、集団的自衛権の行使容認に踏み込むのであれば、その前に、この国の将来を確かなものにするのは当然であろうと考えたからである。  ところが、その後の動きや、年末にまとまった地方創生の総合戦略を読んでそれは買い被りだったことを悟ってしまった。要は、半数の自治体が消滅する可能性があるとする増田寛也元総務相が率いる日本創成会議が出した「消滅可能性ショック」が全国を駆け抜け、その危惧を奇貨として、地方創生を打ち出したにすぎない。  「ローカルアベノミクスの効果を津々浦々まで届ける」という見果てぬ夢を語る安倍政権の人気維持策であり、選挙対策でもある。また、安保法制見直しへの批判を避ける防護壁にも使った。官僚側から見れば、地方の危機に便乗した霞が関の生き残り策である。  国家の一大事と訴えながらも、地方創生に回す予算も限られ自治体は青息吐息だ。伝道師である石破茂地方創生担当大臣が「自治体間の競争を」、小泉進次郎内閣府政務官が「リスクを取る自治体を応援する」と鼓舞しても、果たしてどれぐらいが動き出すだろうか。  本書は、これら地方創生をめぐる政治構造に加えて、自治体が直面する現実、改革の動き、地方創生の糸口となる各地の取り組みを幅広く紹介した。地方の「今」が見えるはずだ。(すわ・ゆうぞう)

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