鉄塔武蔵野線
ソフトバンク文庫
銀林みのる
2007年9月30日
SBクリエイティブ
913円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。その名は“武蔵野線75-1”。新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ」-小学生の頃、誰もが抱いていた気持ちを見事に描き、未知の世界を探検する子供心のときめきを見事に描き出した“鉄塔小説”。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。1997年映画化作品。著者が思いの丈を詰め込み、本当に望んでいた「完全版」に改編。鉄塔 武蔵野線1号から81号まで計500枚以上の写真を掲載し、幼き日の美しい思い出を遡る。
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もこりゅう
いつか、「タモリ倶楽部」で特集することを、願ってやまない。
2007年の夏休み。神田川をたどる旅をしていると、現われる鉄塔、北堀線。これをみたとき思い出したのが、この小説、いや、正確にはこの小説を原作とした映画であった。といっても、この映画は観た事がないのだが。。 2008年夏休みも、例によってヒマになろうこと請け合いであったため、ひとまず購入した。鉄塔マニアな少年の、ひと夏のさわやかな体験を描く、ジュブナイル冒険ロマン鉄塔小説。 転校を控えた夏休み。友達はみな避暑地に出かけており、ひとりサッカーボールを蹴っていた見晴。彼の目は、不思議な形をした鉄塔を捉えていた。近づくと見える「武蔵野線 75-1」という番号札。永遠のスタート地点である。次の鉄塔を巡ると「武蔵野線 76」の番号札。もしかして、この鉄塔をさかのぼると1号鉄塔が、その先にはきっとヒミツの原子力発電所があるのでは。。そしてはじまる、年下アキラとのひと夏の鉄塔を巡る冒険旅行。彼らは無事、1号鉄塔までたどり着くことができるのか、その先にはいったいなにがあるのだろうか。。 男性型鉄塔、女性型鉄塔などといった子供らしい発想のなかに、裏打ちされた鉄塔の知識というアンバランスさが、なんともいえずマニア心をくずぐる。日ごろ特に気も留めずに見ていた、あるときは自然の中の、あるときは街の中の巨大人工物である鉄塔。この本を読むと、碍子とジャンパー線がどのように鉄塔とつながっているのか、気にして歩いてしまうようになるのだ。さらに少年のこころのピュアさにおじさん、やられちゃいました。ほんと社会ってのは、一番誰に親切であるべきかというと、それはやっぱり子供に対してだね。褒めるのも叱るのも、そして、鉄塔をみせてあげるのも。 いつか、「タモリ倶楽部」で特集することを、願ってやまない。
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