いつまでもショパン

「さようならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」に続く岬シリーズ第3弾。 ショパンの国、ポーランドに音楽一家として生まれ、「ポーランドのショパン」の紡ぎ人としての運命を背負わされるヤン。ショパンコンクールで他のコンテスタントとの出会い、テロとの遭遇を乗り越え、多くのものを学ぶ。親の欲に縛られ、ポーランドという国に縛られ続けた井の中の蛙がブレイクスルーする様は読んでいて爽快。 選曲の仕方、タイミング、表現方法相変わらず見事の一言。過去の作品の登場人物たちもチラりと出場。そういうの好きです。 「おやすみラフマニノフ」で災害の恐怖に陥った人たちの行動を変えた岬の音楽は、今度は戦場という狂気をも動かす。 例によって犯人明かしは最後の10ページ。それも過不足なく、毎度予想を良い意味で裏切る結果。 以下「逡巡とか名残りとは無縁の男」の粋なセリフ。 「不可能というのは臆病者の言い訳です」 「才能というのは怠け者の言い訳です」（p.216）

非表示