
アリバイ会社にご用心
宝島社文庫
新藤卓広
2016年5月31日
宝島社
770円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
依頼客にアリバイを作る「鈴木アリバイ会社」に勤務する右藤旺太郎は、会社の顧客であった佐々木勇を殺害した疑いをかけられる。警察からの聴取を適当にやり過ごした翌日、自身のアリバイを“崩してほしい”という依頼人・藤寺美沙が会社を訪ねてくる。しかも、彼女は自分こそが佐々木殺害の犯人だと告白しー。右藤は自らの潔白を証明するため、藤寺のアリバイ崩しに挑む。
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ザイシとは
【ザイシ・・・アリバイの隠語。アリバイは現場不在証明のこと。「不在証明」を略して”ザイシ”。業界用語】 「鈴木ザイシ会社」つまりはアリバイ会社、主な業務は依頼客にアリバイを作ること、に勤務する右藤旺太郎は、会社の顧客を殺害した疑いをかけられる。警察に任意同行に応じた翌日、「実は自分が真犯人だ、だが自分には鉄壁のアリバイがあるので自首できない、アリバイを崩してほしい」という依頼が。右藤は自分の潔白を証明するために、アリバイ作りではなく、アリバイ崩しに挑むことになった。 アリバイを作ることは、実は簡単である。当事者でない第三者の証言を得られれば、簡単にアリバイ成立になる。その手伝いをするのがザイシ会社だ。例えば、外出していた理由を「会社の出張」としてほしい、とか、目撃されたくない現場にいたことを見られたかもしれない人物に「別の場所に一緒にいた」となにげなく話し疑いを解いたり。 でも中には、やってはいけないアリバイ作りをするやつもいる。例えば殺人犯がその殺害のあった時間帯に、別の場所にいたという証言をする、などだ。それも一人じゃなく二人以上の目撃者を作り、殺人犯とは面識もないような人物を裁判での証言に使ったりする。そうすると警察も検察も、アリバイがあるのだから黒ではない、という判断をしたりする。そして全く関係のない人物が冤罪で捕まったりするのだ。 逆に、アリバイを崩すのは、簡単なことではない。誰かが嘘をついているにしても、その嘘を翻させるのは、相当難しいのだ。アリバイを証言した人にも嘘の証言をしたとわかったら罪に問われるわけなので、嘘をついたと言うわけがないわけで。 はたして、アリバイ崩しは達成されるのか?右藤の疑いを晴らすことはできるのだろうか?果たして依頼人は本当に殺人犯なのか? 勤務先の会社や幼馴染が務める探偵社までも巻き込み、事件の要のアリバイは意外なところからほころび始める。本当に信用できるのは誰か。小さい頃のツライ経験が原因で、常にまわりに壁を作ってしまいだれも信用できなくなっていた右藤が、最後に信頼できた、信頼しようと思えたのは誰なのか。 誰か一人でもいいい、信じられる人がいるのなら、その人はきっと幸せだ。誰も信じられないのなら、きっとツライから。誰かが扉をたたいてくれたら、そのとき怖がらずに心開くとができれば、でもそれも難しいのはわかっているけれども、やってみなければ、前に進まない。きっと光は見えない。少しでいい。差し伸べられた手をつかむことができれば、きっと見えなかったものが見えてくる。そう思う。
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(無題)
アリバイ会社に勤める右藤が殺人事件の犯人として疑われた。その後、自首したいのでアリバイを崩してほしいという依頼者、藤寺美沙がアリバイ会社に現れる。受けた依頼。父の冤罪を晴らすため、殺された男の素性を探る右藤。親友の新米探偵太一、先輩の捜査方法に疑問を持つ刑事羽田、フリーライター桐島たちが真相に迫る。15年前と現在の犯人との間にどんな関係があるのか。どんでん返しも鮮やかな本格ミステリー。
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