鎌倉うずまき案内所
青山美智子
2019年7月31日
宝島社
1,628円(税込)
小説・エッセイ
古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて…。「はぐれましたか?」会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。いつしか40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成時代を6年ごとにさかのぼりながら、6人の悩める人びとが「気づくこと」でやさしく強くなっていくー。うずまきが巻き起こす、ほんの少しの奇跡の物語。
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「ナイスうずまき!」と宣言されたら、既に答えは出ているのです
鎌倉を舞台に、2019年から平成を6年ごとに遡っていく連作短編集。 人生に迷いが生じた人だけが訪れることができる不思議な案内所には、紳士的な双子の老人と奇妙な所長がいた。案内所に立ち寄った人たちは双子の老人を介して所長の言葉に耳を傾け、自分の進むべき方向を目指すのだが。。。 登場人物が皆一様に今頑張って前を向いていて、その姿に読者もきっと前向きになれる。迷っていたり自分の境遇を憂いてたりしていても、ちょっと背中を押してもらうだけで人生は好転するのだ。答えは自分で持っているのにそれに気付かない人は、うずまき案内所に行って話を聞いてもらえばいい。 作品の中では平成という時代を遡っていくが、それと同時に我々読者の記憶も一緒に遡っていく。あの頃こんなこと流行ってたよな、と思い返してその延長線上に今の自分がいるんだなぁと。 鎌倉は観光地である以上に、地元の人たちの生活感がにじみ出る不思議な街だ。本作品にも鶴岡八幡宮や小町通りのような観光スポットが出てくるかと思えば、そこから一本通りを隔てた地元の人しか通らないような路地も出てくる。現実と非現実が程よく混ざりあってうずを巻いているような街、それが鎌倉。 『鎌倉うずまき案内所』は迷う登場人物が読者を連れて鎌倉を彷徨う。そして、次の休みに鎌倉に行きたくなるような作品だ。
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George
青山ワールド
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