
「超」怖い話(Φ)
竹書房文庫
加藤一(怪談作家)
2012年2月29日
竹書房
691円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
子供の頃、無性に怖い話が好きだったという人は少なくないだろう。学校の七不思議やコックリさん、修学旅行の夜は怪談と相場が決まっている。子供にとっては怖がること自体が楽しい遊びのひとつだったかもしれないが、それでもやはり「信じていた」のだと思う。霊の存在、神々の領域、理屈では割り切れない不思議がこの世にあるということを肌で感じていた。だが、大人になると「信じている」こと自体、子供じみていて、妙に気恥ずかしくなってしまう。しかし、信じなくなったわけではないというのが本当のところではあるまいか。むしろ恐れは増し、いたずらに深入りしてはならないという暗黙のブレーキが働いている。そしてなお、疼くように感じる好奇心…。あの世はいつの時代も未知の世界、未知ゆえに恐ろしく、甘美な匂いを放っている。誰も嘘と判り切っているものに、こうまで惹かれはしない。我々が怪談に求めるものーそれは揺るぎない真実なのかもしれない。
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