「超」怖い話(Χ)

竹書房文庫

松村進吉

2012年8月31日

竹書房

691円(税込)

人文・思想・社会 / 文庫

何気なく不思議な体験の記憶を辿っていくと、欠落した部分があることに驚く。現のようにはっきりとした体験が、あるときから幻ではなかったのかと思い始めることがある。が、記憶の隙間には中途半端な治療の虫歯みたいに何かが入り込んでいるのだ。あまりの衝撃に脳みそのしわの中に沈みこめてしまったのか、あたかも恐怖体験はなかったかのように…。だがそっと舌で触ってみると妙にしっかりとした質感や肌触りや、そのときの心の慄きが冷汗とともに蘇ってくる。闇の色や異形のものの息遣いとともに、体が捩れるほどの恐怖が心を突き抜ける。“「超」怖い話”2012年夏の新作書き下ろしは頭の内側から痛みを伴って恐怖が立ち上る30篇を収録した。

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