
グローバル・ヒバクシャ
ロバート・A・ジェイコブズ / 竹本 真希子 / 川口 悠子 / 梅原 季哉 / 佐藤 温子
2025年3月28日
名古屋大学出版会
5,940円(税込)
人文・思想・社会
広島・長崎だけではない、惑星的な被曝の全体像へーー。現在の科学的知見や幅広い聞き取り調査を踏まえて、核実験・原発事故・ウラン採掘の被害者をはじめ、これまで不可視化されてきた世界のヒバクシャの実態を追究。原爆の記憶や福島の経験と接続するとともに、核抑止論の前提を鋭く問い直す。 日本語版に寄せて -- メイド・イン・ジャパン はじめに 序 章 放射線にさらされ、不可視化されるもの ブラボー実験 グローバル・ヒバクシャ 犠牲者を定義する 冷戦下の核戦争 子孫を死に至らしめる 国家史を越えて 第1部 科 学 第1章 爆心地 核兵器の作用 広島と長崎における疾病と死亡率 好 機 ABCC と寿命調査 寿命調査の内在的問題 寿命調査の外在的問題 むすびに 第2章 残存する粒子 向骨性核種 核実験場での疾病と死亡 残留する放射線の害 生態系に組み込まれる放射性核種 短期的・長期的な疾病 世界各地の放射性トレーサー グローバル生態系に遍在する人為的起源の放射性降下物 むすびに 第2部 人 々 第3章 共同体の崩壊 粒子に囲まれた子育て 分断される家族 受け継がれてきた知の鎖を断ち切る 数えられた人々、数えられなかった人々 むすびに 第4章 汚染の隠蔽 核災害後の人々と言説の管理 寿命調査の兵器化 -- 放射性降下物のさらなる不可視化 自然と汚染空間の浄化 森林火災と野生生物 共同体の経済的相互依存と文化的自己決定 不可視化されたものを見る目を養う むすびに 第3部 軍 事 第5章 汚染対象の選定 ビキニとエニウェトクの選定 カザフスタンとノバヤゼムリャ(ソ連の核実験) ネバダ(米国の核実験) オーストラリアとキリバス(英国の核実験) アルジェリアと仏領ポリネシア(フランスの核実験) ロプノール(中国の核実験) むすびに 第6章 限定核戦争としての冷戦 グローバルにみた核実験 地球規模の熱核戦争としての第三次世界大戦 ソ連と米国による自国民に対する戦争としての冷戦 放射線兵器として核兵器を捉える 「長い平和」としての冷戦 限定核戦争 むすびに 第4部 未 来 第7章 スローモーションの核戦争 核技術の適切な管理 核技術における管理不全 使用済み核燃料の適切な保管 無能さの現れとしての深地層への保管 先行き不明な境界線を引く 遠い将来とのコミュニケーション戦略 合理的な人間と非合理的な人間 時間的な暴力 むすびに おわりに -- 目を見開くこと 謝 辞 訳者あとがき 注 索 引
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