労働の経済地理学

中澤 高志

2014年2月1日

日本経済評論社

6,160円(税込)

人文・思想・社会

労働は、いまや経済地理学の重要なカテゴリーである。「労働市場の媒介項」を鍵概念に、日本の労働市場の特徴を労働者の視座から描き出す、理論に裏打ちされた実証研究。 はしがき 第1章 「労働の地理学」と労働市場の媒介項  1 「労働の地理学」とは何か  2 「労働力の地理」から「労働の地理学」へ  3 労働市場の社会的調整  4 労働市場の媒介項  5 本書の目的と分析視角 第2章 現代の労働市場をめぐる諸概念と「労働の地理学」  1 本書における本章の位置づけ  2 フレキシビリティ概念とそれに対する批判  3 ワークフェアの席巻  4 エンプロイアビリティ概念の再検討 第3章 地域労働市場における高卒者の職業経験と専門高校の役割  1 新規学卒労働市場における専門高校卒業者  2 対象者と対象地域  3 専門高校への進学と就職  4 専門高校における教育と職業経験  5 おわりに 第4章 ジョブカフェによる若年不安定就労者支援の限界  1 若年不安定就労者の焦点化  2 労働市場政策としてのジョブカフェ事業の特徴  3 大分県の労働市場における若年不安定就業者  4 若年不安定就労者としてのジョブカフェおおいた利用者  5 サプライ・サイドの労働市場政策の限界 第5章 子育て期の女性に対するNPO法人による在宅就業の推進  1 ワーク・ライフ・バランス実現策としての在宅就業推進  2 「労働の地理学」と女性労働・在宅就業  3 大分県の「在宅就業支援モデル事業」策定と「地域の実情」  4 NPO法人による在宅就業支援事業  5 アンケート調査に見る在宅就業の実情  6 おわりに 第6章 間接雇用の展開と金融危機に伴う雇用調整の顛末  1 金融危機の勃発と雇用調整  2 間接雇用への分析視角  3 間接雇用労働力の増加とその地域的影響  4 間接雇用労働力の増加による国東市・杵築市の変容  5 雇用削減に対する自治体の対応とそれへの労働者の反応  6 雇用不安とその顛末をめぐる空間スケールの重層性 第7章 自治体の緊急相談窓口利用者にみる間接雇用労働者の不安定性  1 問題の所在  2 対象地域と資料について  3 相談者の属性と派遣・請負労働力の移動空間  4 相談者の直面した困難とその背景要因  5 間接雇用と労働者の主体性  6 間接雇用労働市場に引き寄せられる労働者 第8章 日本人女性の現地採用労働市場の拡大とその背景  1 「労働の地理学」と女性の国際移動の研究との接点  2 海外在留邦人の動向とシンガポールの日本人女性  3 現地採用日本人女性増加の背景  4 労働者の視座からの知見の捉えなおし 第9章 スキル・エコシステムの概念とキャリア開発  1 本書の知見に基づく課題抽出  2 スキル・エコシステム概念の起源  3 スキル・エコシステム概念の拡張  4 プロジェクトとしてのスキル・エコシステム  5 キャリア・ラダーとその隘路  6 経済地理学者のなしうる貢献 文  献 あとがき 索  引

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